京都の「地下水」を巡る議論
現在、北陸新幹線は東京から富山・金沢・福井を通って「敦賀」まで、今年の3月に開通しました。この開通を受けて、残りの敦賀から京都・新大阪までどの様な「ルート」で接続するかが今、急ピッチで検討が進められています。
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その内、京都への接続ルートについては今、与党プロジェクトチーム(与党PT)では、
・東西案
・南北案
・桂川案
の3つの案が示されており、それぞれの案を様々な観点から吟味し、最終案を選定する作業が今、進められています。その一環で、過日(12月13日)、与党PTによるヒアリングが、京都府の西脇隆俊知事や京都市の松井孝治市長らを対象に行われました。
その中で、松井京都市長から下記のような発言が出されました。
「地下水、水の問題の懸念があると。酒造りだけでなく京料理であるとか、染色であるとかいろんなもの、京都の生活文化、産業文化を支えてきたその水に対する懸念ということを申し上げました」(NHK、12月4日、「北陸新幹線延伸 松井市長“懸念払拭されなければ同意できず”」)
これに類似した発言は、地下水を考慮したトンネルについての土木工学の専門家とは少々異なる、文学や農学、地質学の専門家達からも出されており、松井市長はそうした声を耳にしたことで懸念を表明されてるものと考えられます(12月15日、北國新聞「敦賀以西、ルート再考を 研究者有志『考える会』科学的知見で訴え」)(補足1を参照)。
当方、北陸新幹線の京都・大阪接続の問題についてはこれまで、複数の学会発表や学術論文等で研究してまいりましたが、その接続による京都・大阪に対する経済的・産業的・社会的・文化的効果は甚大である旨が繰り返し実証的に示されていることもあり、この「地下水」の問題にも重大な関心を持っております。
もしも、地下水に深刻な影響を及ぼすのなら、京都・大阪に対する経済的・産業的・社会的・文化的効果が限定的、ないしは否定的なものとなり、その整備を見直す必要がでてくるからです。