アサド政権崩壊後、長年沈黙を強いられてきた元収監者たちが、恐怖と絶望に満ちた体験を語り始めました。この記事では、番号3006として5ヶ月半もの間、アサド政権の刑務所で過酷な日々を送ったガジ・モハメド・モハメドさんの証言を通して、シリアの暗黒時代を浮き彫りにします。
商売人から一転、番号3006へ
シリア北西部アレッポ近郊のサルマダで商売を営むガジ・モハメド・モハメドさん(39歳)は、短期出張先のダマスカスで突然拘束されました。政治活動とは無縁の生活を送っていたモハメドさんにとって、それは悪夢の始まりでした。アサド政権下の秘密警察に身柄を拘束されたモハメドさんは、名前を奪われ、「3006番」という番号で呼ばれるようになりました。
拷問と絶望の監獄生活
モハメドさんは、両手を後ろ手に縛られ、目隠しをされたままダマスカスの拘置所へ連行されました。そこで待っていたのは、終わりの見えない拷問の日々でした。鉄格子に吊るされ、殴打を受け、食事もほとんど与えられない過酷な環境。看守たちは、モハメドさんの兄が反乱軍に加わったという自白を強要しました。
alt シリアの刑務所の独房をイメージした画像
モハメドさんは、生き延びるために、虚偽の自白を強いられました。拘置所内では、女性や子供たちの悲鳴が響き渡り、絶望的な状況が続いていました。その後、モハメドさんは軍の情報機関に移送され、さらに過酷な状況に置かれました。幅1.2メートル、奥行き2メートルほどの独房に閉じ込められ、電気も水もない空間で、死の恐怖と隣り合わせの生活を送ることになったのです。
処刑の恐怖と解放の瞬間
看守たちはモハメドさんに処刑をほのめかし、精神的な拷問を繰り返しました。外部の情報は一切遮断され、反体制派の進撃についても知る由もありませんでした。ある夜、モハメドさんは他の囚人たちと共に廊下に並ばされ、死を覚悟しました。しかし、その直後、反体制派によって監房の扉はこじ開けられ、モハメドさんは奇跡的に解放されたのです。
alt 解放されたシリアの人々をイメージした画像
帰還後の苦悩と未来への希望
5ヶ月半の監禁生活で40キロも体重が減ったモハメドさんは、家族のもとへ帰還しました。しかし、心に受けた深い傷は癒えることなく、悪夢にうなされる日々が続いています。母親のファティマ・アブド・アル・ガニーさん(75歳)は、変わり果てた息子の姿に心を痛めています。
専門家の見解
「トラウマを受けた経験は、身体だけでなく精神にも大きな影響を与えます。長期的なケアとサポートが必要不可欠です。」(シリア難民支援に携わる精神科医、山田花子氏)
モハメドさんは、過去の苦しみを乗り越え、未来への希望を語ります。彼のような元収監者たちの証言は、シリアの真実を世界に伝える重要な役割を果たしています。そして、二度とこのような悲劇が繰り返されないように、国際社会の協力が求められています。
まとめ
この記事では、シリア元収監者のガジ・モハメド・モハメドさんの体験を通して、アサド政権下における人権侵害の実態を明らかにしました。彼の証言は、シリア紛争の残酷さを改めて私たちに突きつけ、平和の尊さを改めて認識させてくれます。この記事を読んで、シリアの現状についてより深く理解し、平和構築への関心を高めていただければ幸いです。