韓国政界に激震が走った2024年12月14日、国会で尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾訴追案が可決された。議場では緊迫した空気が張り詰め、可決の瞬間、怒号と歓声が入り混じる異様な光景が広がった。街頭では弾劾を求めるデモ隊が歓喜に沸き、韓国の未来を占う重要な局面を迎えている。今後の焦点は憲法裁判所の判断に移り、大統領罷免の可否が審理される。本稿では、弾劾劇の背景と今後の展望、そして専門家の見解を交えながら、韓国政局の行方を探る。
非常戒厳宣言:国民に衝撃と混乱
弾劾劇の引き金となったのは、12月3日に尹大統領が発令した45年ぶりの「非常戒厳」だった。「血を吐く思い」で国民に訴えた大統領は、野党による国政麻痺を非難し、非常戒厳によって「反国家勢力を撲滅し国家を正常化させる」と宣言した。
alt=韓国国会議事堂前に集まる群衆
戒厳司令部が発令した布告令は、国民に更なる衝撃を与えた。国会や地方議会、集会、デモなどあらゆる政治活動を禁止し、メディアと出版は司令部の統制下に置かれるという強硬な内容だった。違反者には令状なしの逮捕・拘束も可能とされ、市民、政府関係者、専門家の多くが「何が起きたか理解できない」「北朝鮮との戦争勃発かと思った」と当時の混乱ぶりを語っている。
国会混乱と戒厳解除:緊迫の6時間
戒厳令発令後、国会議事堂前には戒厳解除を求める市民が集まり、警察官や兵士と対峙する緊迫した状況が生まれた。装甲車や軍用ヘリコプターが展開される異様な光景の中、戒厳軍は約280人の兵士を国会に投入、一部は窓ガラスを割って建物内に進入した。
しかし、戒厳軍による国会封鎖は阻止され、4日未明に開かれた本会議では戒厳令の解除要求決議案が可決。その後、閣議を経て戒厳令は解除された。わずか6時間の出来事だったが、国民の怒りと野党の反発は収まらず、これが尹大統領弾劾への流れを決定づけた。
憲法裁判所の判断:最大の争点は「不法の重大性」
憲法裁判所は今後、弾劾の妥当性を審理し、大統領罷免の可否を判断する。憲法学者である金成洙(キム・ソンス)教授(仮名)は、「憲法裁判所における最大の争点は、『不法の重大性』となるだろう」と指摘する。戒厳令発令の正当性、比例原則の遵守など、様々な観点からの検証が不可欠となる。
韓国政局の行方:混迷を深める政治状況
尹大統領弾劾可決は、韓国政局に大きな影を落とすことは間違いない。憲法裁判所の判断、そしてその後の政局の行方は予断を許さない。国民の不安と期待が交錯する中、韓国は新たな政治的試練に直面している。今後の動向に、世界中から注目が集まっている。