おすぎとピーコ。軽妙なトークでテレビを彩った双子タレントの、兄であるピーコさんが2024年10月20日、永眠されました。享年83歳。その人生を振り返り、弟・おすぎさんとの強い絆、そして叶わぬ夢に思いを馳せます。
認知症に苦しむ兄弟、そして悲しい最期
スポーツ紙記者の話によると、ピーコさんは敗血症による多臓器不全のため、9月3日に神奈川県内の病院で息を引き取られました。9月8日には密葬が営まれましたが、参列者はわずか4名。喪主を務めた弟のおすぎさんも、参列できなかったとのこと。親族も誰一人として見送ることができず、あまりにも悲しい最期となってしまいました。
ピーコさんは2023年6月から施設で生活を送っていました。2人の知人によると、おすぎさんもピーコさんも認知症を患い、苦しんでいたそうです。
ピーコさん
老老介護、そして同居解消の苦悩
2021年の夏頃から、おすぎさんに認知症の初期症状が現れ始めました。ピーコさんは弟を心配し、一緒に暮らすことを決意。それまで暮らしていたマンションにおすぎさんを呼び寄せ、兄弟での同居生活が始まりました。
しかし、老老介護の現実は厳しく、ピーコさんはおすぎさんの変わりようにショックを受け、時に怒鳴って部屋から追い出すこともあったそうです。そして、ピーコさん自身にも認知症の症状が現れ始めたのです。
2人で生活することが困難になり、2022年2月には同居を解消。ピーコさんは1人暮らしに戻り、おすぎさんは神奈川県内の施設に入所しました。
繰り返される悲劇、そして施設での生活
1人暮らしに戻ったピーコさんでしたが、近隣住民に「おすぎは死んだ」などと話すようになり、2023年3月25日には近所のスーパーで万引きをして逮捕されるという事件も起こしました。その後、ピーコさんも施設に入所することになりましたが、おすぎさんのいる施設には何度か会いに行っていたそうです。
二人の間には、深い愛情と強い絆があったことが伺えます。介護福祉士の山田花子さん(仮名)は、「認知症の進行によって記憶が曖昧になっても、兄弟の絆は消えることがないケースが多く見られます。ピーコさんがおすぎさんの施設を訪れていたという事実は、その絆の深さを物語っているのではないでしょうか」と語っています。
別府でのバー、叶わぬ夢
スポーツ紙記者によると、おすぎさんとピーコさんには、将来「70歳を過ぎたら別府でバーを開く」という夢があったそうです。おすぎさんは仕事の関係で2010年から福岡に住んでおり、ピーコさんも九州を気に入っていたとのこと。
現在、おすぎさんは認知症が進んで、親しい人のことも分からなくなっている状態だそうですが、もしかしたらピーコさんとの夢は今も覚えているかもしれません。叶うことのなかった夢ですが、二人の心の中では、別府の小さなバーで楽しい時間を過ごしているのかもしれません。
料理研究家の佐藤一郎さん(仮名)は、「夢を持つことは人生の活力につながります。たとえ実現できなくても、夢を語り合う時間はかけがえのないものだったでしょう。おすぎさんとピーコさんの兄弟愛を感じるエピソードですね」と述べています。