地方創生、ふるさと納税の成功事例として注目を集める高知県須崎市。かつて「第二の夕張」と揶揄され、財政破綻の危機に瀕していたこの町が、どのようにして奇跡の復活を遂げたのでしょうか?本記事では、須崎市のゆるキャラ「しんじょう君」誕生秘話とその立役者、元フリーター職員の守時健さんの奮闘に迫ります。
復活の鍵はゆるキャラ「しんじょう君」
かつて深刻な財政難に陥っていた須崎市。市役所では経費削減のため、蛍光灯を半分だけ点灯させる案が真剣に検討されるほどでした。そんなどん底の状況から一転、現在ではふるさと納税による寄付額が34億円に達するなど、目覚ましい発展を遂げています。その復活の立役者こそ、ゆるキャラグランプリ2016で優勝に輝いたニホンカワウソのキャラクター「しんじょう君」です。しんじょう君はイベントで人口の4倍以上の観光客を動員し、SNSを活用した特産品PRでは3日で1億円を売り上げるなど、驚異的な経済効果を生み出しています。
須崎市のゆるキャラ「しんじょう君」
元フリーター職員、守時健さんの挑戦
しんじょう君を生み出し、須崎市の奇跡の復活を導いたのは、元市役所職員の守時健さんです。彼は現在、自治体のふるさと納税コンサルティング事業を運営する株式会社パンクチュアルの代表を務めています。守時さんは、かつてフリーターとして不安定な生活を送っていました。日雇い仕事で生計を立て、家賃滞納で電気を止められるなど、まさにどん底の人生でした。
どん底からの脱却:大学受験への挑戦
20歳を迎えた守時さんは、「このままではいけない」と一念発起し、大学受験を決意します。高校時代は偏差値38で卒業した彼にとって、大学受験は大きな挑戦でした。2ちゃんねるで勉強法を調べ、小学6年生の教科書から学び直すなど、寝る間も惜しんで勉強に励みました。周囲からは「無理だ」と笑われながらも、1年半の猛勉強の末、関西大学社会学部に見事合格。人生の転機を掴み取ったのです。
須崎市との出会い:まちおこしへの情熱
大学卒業後、守時さんは須崎市役所に就職。そこで、衰退していく故郷の姿に危機感を抱き、まちおこしに情熱を燃やすようになります。そして、生まれたのが「しんじょう君」でした。しんじょう君は、単なるゆるキャラではなく、須崎市の魅力を全国に発信する強力なツールとなったのです。
ふるさと納税の成功:1700倍の寄付額
しんじょう君の活躍と共に、須崎市のふるさと納税も急増。2014年度にはわずか200万円だった寄付額が、2023年度には34億円と、なんと1700倍にまで増加しました。この成功は、守時さんの戦略的なPR活動と、しんじょう君の魅力によるものです。
守時健さん
須崎市の未来:更なる発展を目指して
しんじょう君と守時さんの活躍により、須崎市は「第二の夕張」から脱却し、活気あふれる町へと生まれ変わりました。彼らの挑戦は、地方創生の成功モデルとして、全国の自治体に希望を与えています。今後も、須崎市は更なる発展を目指し、新たな挑戦を続けていくことでしょう。