令和ロマンの髙比良くるまさん。M-1グランプリ2023でトップバッターとして優勝、そして2024年大会でも再びトップバッターで出場し、史上初の二連覇を達成しました。この偉業の裏側にあるくるまさんの漫才への深い洞察を、初の著書『漫才過剰考察』を紐解きながら探っていきます。
芸人総アイドル化時代:M-1に及ぼす影響
くるまさんは著書の中で、近年のM-1を取り巻く環境の変化について言及しています。第七世代以降のお笑いブーム、そして多様なメディアへの露出増加により、芸人の人気はアイドル化の様相を呈しています。
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かつては一部の芸人に限られていた「ワーキャー人気」が、現在ではお笑い芸人全体に波及している点が大きな変化と言えるでしょう。 これは「推し活」文化の隆盛も一因と考えられます。アニメ、アイドル、バンドなど、様々なジャンルのファンが「ついで」にお笑いを応援するようになり、芸人を取り巻く市場も拡大しています。
M-1の新たなトレンド:ネタバレされない芸人?
くるまさんは、M-1の今後のトレンドとして、「お笑いファンに人気がなく、ネタがネタバレされていない」芸人が台頭する可能性を示唆しています。 従来のM-1では、人気芸人のネタは事前にファンによって拡散され、新鮮味が薄れてしまうというジレンマがありました。
ファンの多さが時にノイズとなる現状。くるまさんは「顔ファン」論争や、女性芸人のファンに対する疑問など、人気芸人を悩ませる問題にも触れています。 粗品さんが提唱する「ファンハラ(ファン・ハラスメント)」という言葉も、この状況を象徴していると言えるでしょう。 芸人にとって、ファンの存在は大きな力となる一方で、新たな課題も生み出しているのです。
変化の背景:マネタイズ戦略の転換
お笑い業界のマネタイズ戦略の変化も、芸人のアイドル化を加速させている要因の一つです。 闇営業問題やコロナ禍、テレビ離れといった逆風が、従来の「何となく」儲かっていた時代からの脱却を促しました。 そして、新たな収益源として、雑誌のグラビアやグッズ展開など、アイドル的な手法を取り入れる動きが活発化しています。
結論:M-1の未来と漫才の進化
髙比良くるまさんの『漫才過剰考察』は、M-1グランプリの現状と未来、そして漫才の進化について鋭い洞察を与えてくれます。 芸人のアイドル化、ファンの増加、マネタイズ戦略の変化など、様々な要因が複雑に絡み合い、M-1は新たな時代へと突入しています。 くるまさんの考察は、漫才を愛するすべての人にとって、刺激的で示唆に富んだものとなるでしょう。