大統領への逮捕令状発付という異例の事態を受け、韓国政界は大きく揺れている。12・3戒厳事態における「内乱首魁」容疑で尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領に対する逮捕および捜索令状がソウル西部地裁から発付された。注目すべきは、捜索令状に刑事訴訟法第110条と第111条の適用除外が明示された点だ。これは、大統領府への捜索を阻んできた警護処の抵抗を無効化する可能性を秘めている。
裁判所の異例の判断:大統領府捜索への道を開くか
これまで、大統領室や官邸といった場所への家宅捜索は、軍事上または職務上の秘密を理由に警護処によって拒否されてきた。 刑事訴訟法第110条と第111条は、これらの場所への捜索には責任者の承諾が必要と定めているためだ。しかし、今回の地裁の判断は、尹大統領の所在把握のための捜索においては、これらの条項は適用されないという異例の解釈を示した。
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この判断は、公捜処に大統領府への捜索と身柄確保の道を拓くものと言える。公捜処の呉東運(オ・ドンウン)処長は、令状の有効期限内での執行を明言し、警護処による妨害には法的措置も辞さない構えを見せている。
専門家の見解:異例の状況への対応
令状専門担当裁判官の経歴を持つある裁判官は、この適用除外の明示は、警護処への牽制の意味合いが強いと指摘する。また、別の裁判官は、このような明示は異例ながらも、現状況自体が異例であるため、やむを得ない判断だった可能性を示唆している。
公捜処は警察と連携し、執行時期や方法を慎重に検討している。早朝執行の可能性も示唆されており、今後の動向に注目が集まっている。
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尹大統領側の反発:司法の信頼を侵害する重大事案
一方、尹大統領側の弁護士は、裁判所の判断は違法無効であり、司法の信頼を侵害する重大事案だと強く反発している。大法院(最高裁)による真相調査と令状担当裁判官の懲戒処分を求めるなど、徹底抗戦の構えを見せている。
今後の展開:政局への影響は必至
大統領への逮捕令状発付という前代未聞の事態は、韓国政界に大きな波紋を広げている。今後の捜査の行方、そしてそれが政局に及ぼす影響は計り知れない。 公捜処と大統領側の攻防は激しさを増しており、予断を許さない状況が続いている。