日本では米価高騰が社会問題となっていますが、ここモスクワでもウクライナ紛争の影響で物価上昇は続いています。食料品も例外ではなく、お米も数年前と比べて20~30%ほど値上がりしています。それでもロシア産米は1キロあたり300円程度。日本の「5キロ数千円」といった高騰ぶりとは大きな差があります。
ロシアのスーパーに並ぶ米
ロシアで米価が安定している理由
なぜロシアでは米価が比較的安定しているのでしょうか? いくつか理由が考えられます。
ロシアの主食は小麦
ロシアでは小麦粉を使ったパンやパスタが主食であり、米の需要は日本ほど高くありません。そのため、米価への影響も限定的です。
豊富な資源と低い生産コスト
ロシアはエネルギー資源や肥料の生産国であるため、米の生産コストを比較的低く抑えられます。これが価格安定に繋がっていると言えるでしょう。
経済制裁による輸出制限
経済制裁の影響でロシア産米の輸出が制限されています。結果として国内供給が増え、価格高騰が抑えられている側面もあります。
ロシア産米の品質
モスクワ在住の日本人商社マンにロシア産米の日本への輸出の可能性を尋ねたところ、「品質が低いため、たとえ安くても売れないだろう」という答えが返ってきました。ロシア人の主婦からも「粒が立たない、冷めると美味しくない」といった声が聞かれました。
日本の米と比べると、確かに食感や風味に違いがあるのは事実です。しかし、私自身は「味音痴」なのか、ロシア産米に不満はありません。むしろ、戦時中や終戦直後には白米は貴重品だったという歴史を思い出し、今こうして米を食べられることに感謝しています。
食文化の違いと米への価値観
日本では米は単なる主食ではなく、文化や伝統と深く結びついています。そのため、味や品質へのこだわりも強いのでしょう。一方、ロシアでは米はあくまで主食の一つであり、日本のような強いこだわりは見られません。この食文化の違いが、米への価値観の違いを生み出しているのかもしれません。
世界的な食糧危機が叫ばれる中、食料安全保障の重要性はますます高まっています。様々な国の食事情を知ることで、私たち自身の食生活についても改めて考えさせられます。