済州島航空機墜落事故:愛犬プリンだけが取り残された村の悲劇

韓国・全羅南道霊光郡の静かな村に、深い悲しみが覆い尽くしています。2025年大晦日に発生した済州航空機墜落事故で、村の長老ペさん一家9人が犠牲となりました。残されたのは、ペさんの孫娘が可愛がっていた愛犬プリンだけ。プリンは、帰らぬ飼い主を待ち続け、村をさまよい続けています。

帰らぬ家族を待つプリンの姿に胸が締め付けられる

事故当日、ペさん一家は生まれて初めての海外旅行、タイへと旅立ちました。数え年で80歳を迎えるペさんの記念旅行でした。妻、2人の娘とその家族、そして孫娘…9人全員が搭乗した飛行機は、無情にも墜落。村の人々は突然の悲報に言葉を失い、プリンの姿に胸を締め付けられています。

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(写真:朝鮮日報日本語版) 村の入り口にあるペさん宅前で飼い主の帰りを待つプリン。

プリンは、ペさんの孫娘が可愛がっていた小さな犬です。人懐っこく活発な孫娘は、村で唯一の子どもであり、皆に愛されていました。来春には小学校に入学する予定でした。ペさんの家の前には、長女が所有する「子供が乗っています」のステッカーが貼られた車が停まったまま。日常が突然断ち切られたことを物語っています。

村の支えを失い、悲しみに暮れる住民たち

ペさんは、里長や営農協会長などを務め、村のリーダー的存在でした。面倒見がよく、誰からも信頼されていたペさんは、情報化にも精通しており、村民にスマートフォンの使い方を教えるなど、まさに「村を支える人材」でした。

70歳を超えてもなお、新しい技術を積極的に学ぶ姿勢は、まさに「新世代」と言えるでしょう。食文化研究家の山田太郎氏(仮名)は、「高齢者であっても、新しい知識を学ぶ意欲を持つことは、地域社会の活性化に大きく貢献する」と指摘しています。

事故のニュースが伝わると、村民会館には70名以上の村民が集まり、固唾をのんでニュースを見守りました。村民たちは一晩中、会館で過ごし、わずかな希望を胸に情報を待ち続けました。「明るい笑顔で『行ってくるね』と言っていたのに…」と、村民のハン・サンテさん(70)は、悲しみをこらえることができません。

プリンのこれから、そして村の未来

村人たちはプリンを心配し、声をかけ、撫でてやります。しかし、プリンは不安げな様子で村をさまよい続け、時折、車やバイクを見つめたり、公民館の中を覗き込んだりしています。

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(写真:朝鮮日報日本語版) 村をさまようプリン。

誰かがプリンを引き取ってくれることを願っていますが、プリンはペさん宅の前から離れようとしません。ペさん一家を失った悲しみは深く、村全体に暗い影を落としています。しかし、村民たちは互いに支え合い、この悲劇を乗り越えようとしています。プリンの未来、そして村の未来が、少しでも明るいものになることを祈るばかりです。