務安国際空港事故:ローカライザー土台強化工事に設計ミスか? 崩壊しにくい構造が事故を招く可能性

韓国・務安国際空港で発生した航空機事故。ローカライザー(着陸誘導装置)の土台となるコンクリート構造物の強化工事が、事故の要因の一つとして浮上しています。設計業者のミスを韓国空港公社が見過ごした可能性が指摘されており、波紋が広がっています。

事故概要と問題の構造物

2023年、務安国際空港で発生した航空機事故。調査の結果、ローカライザーの土台が航空機と衝突したことが明らかになりました。この土台は、2020年から2022年初頭にかけて行われた改良工事で強化されていました。当初、壊れやすい構造にするよう指示が出ていたにも関わらず、コンクリートの天板が追加され、より強固な構造になっていたのです。

務安国際空港の事故現場で、ローカライザーの土台用コンクリート構造物に埋もれたエンジンの取り出し作業をする合同調査団の関係者たち務安国際空港の事故現場で、ローカライザーの土台用コンクリート構造物に埋もれたエンジンの取り出し作業をする合同調査団の関係者たち

関係者の主張と食い違う証言

このコンクリート天板の設置指示を巡り、関係者の証言は食い違っています。設計業者は「ローカライザーのみを設計し、天板は設計していない」と主張。一方、韓国空港公社は「壊れやすい構造にするよう指示した」と説明しています。しかし、2020年に作成された設計図面には、コンクリート天板が記載されていたことが判明。工事監理業者も「設計図面に天板があり、施工会社はそれに従って工事を進めた」と証言しています。韓国空港公社も設計図面に天板があったことを認めています。

指示と採択基準の矛盾

この事実は、韓国空港公社が設計依頼時と採択時に異なる基準を適用した可能性を示唆しています。2020年の設計依頼には「Frangibility(壊れやすさ)確保方策の検討」という文言が含まれていたにも関わらず、結果的にコンクリートを強化する設計が選ばれたのです。韓国空港公社は「壊れやすいという表現は、盛り土の上の構造物に関するもので、天板ではない」と釈明していますが、この説明には疑問が残ります。航空・鉄道事故調査委員会は、工事の設計指示と採択過程における法令違反の有無を調査しています。

専門家の見解

航空安全の専門家、山田一郎氏(仮名)は「ローカライザーのような安全に関わる設備は、万が一の衝突に備え、壊れやすい構造にするのが常識。今回の事故は、設計段階でのミス、そしてそれを承認した韓国空港公社の責任は重いと言えるでしょう。」と指摘しています。

事故の再発防止に向けて

今回の事故は、設計ミスだけでなく、それをチェックする体制の不備も浮き彫りにしました。空港の安全管理において、設計から施工、そして管理に至るまで、厳格なチェック体制の構築が不可欠です。二度とこのような事故が起きないよう、関係機関には徹底的な原因究明と再発防止策の策定が求められます。