ヘルプマーク、見かけたことはありますか? 赤地に白のハートと十字が描かれた、小さなマークです。 実はこれ、外見からは分かりにくい困難を抱える人々が、周囲のサポートを得やすくするための大切なマークなんです。電車内での席の譲り合いや、災害時の避難支援など、私たち一人ひとりの行動が、ヘルプマークをつけた人にとって大きな助けとなるのです。この記事では、ヘルプマークの意義や現状、そして私たちができることを改めて考えてみましょう。
ヘルプマークとは? 私たちの思いやりを形にするマーク
ヘルプマークは、2012年に東京都で誕生し、その後全国に広まりました。義足や人工関節を使用している方、内部障害や難病の方、妊娠初期の方など、外見からは分かりづらい困難を抱える人々が、周囲に配慮を必要としていることを示すためのものです。 自治体の窓口などで無料で配布されており、バッグなどに身につけることで、周りの人に「援助が必要かもしれない」と伝えることができます。
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ヘルプマークを見かけたら… あなたの小さな行動が大きな力に
ヘルプマークを身につけている人を見かけたら、どのような行動をとるべきでしょうか? 電車やバスで席を譲る、階段の上り下りで困っている様子なら声をかける、災害時には安全な避難をサポートする…など、状況に応じてできる範囲で手を差し伸べることが大切です。 ちょっとした思いやりが、大きな助けとなるのです。
ヘルプマークの認知度:まだ十分とは言えない現状
内閣府の2022年の調査によると、ヘルプマークの全国平均認知度は52.3%にとどまっています。若い世代では4人に3人が知っていると回答した一方、70歳以上の高齢者では3割程度と、世代間で大きな差が見られます。地域差も顕著で、発祥の地である東京都では8割を超える認知度を誇るものの、地方の小都市や町村では4割程度と、まだまだ周知が進んでいないのが現状です。
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ヘルプマーク普及への課題:悪用や転売も…
ヘルプマークの普及には、いくつかの課題も存在します。優先席を譲ってもらえない、悪用やファッション感覚での使用、フリマサイトでの転売など、本来の目的から逸脱した事例も報告されています。 ヘルプマークを必要としている人々が、安心して利用できる環境づくりが急務です。 例えば、ヘルプマーク普及・促進議員連盟事務局長の宮口治子氏は、重度の広汎性発達障害を抱える息子さんとの経験から、ヘルプマークの重要性を訴えています。「子どもたちに、包帯を巻いている人を見たらドアを開けてあげたり、荷物を運ぶのを手伝ったりするように教えるのと同じように、ヘルプマークは『見えない包帯』なんだよと説明すると、子どもたちはすぐに理解してくれます」と、宮口氏は語っています。
「助け合う社会」を目指して:私たちができること
世界各国の市民の行動を比較した調査によると、困っている見知らぬ人を助けた人の割合は、日本ではわずか24%で、調査対象142カ国中下から2番目という結果でした。これは、日本が「助け合わない国」と見なされている可能性を示唆しています。 しかし、本当にそうでしょうか? 私たちはもっと助け合えるはずです。
ヘルプマークは、困っている人と、助けたい人の橋渡しとなる大切なツールです。 ヘルプマークを身につけている人を見かけたら、ためらわずに声をかけてみましょう。 あなたの小さな行動が、誰かの大きな支えになるかもしれません。そして、その積み重ねが、より温かい社会へと繋がっていくのではないでしょうか。