電気自動車(EV)市場の拡大に伴い、車載電池の需要も急増しています。しかし、韓国バッテリーメーカー3社のシェアは縮小傾向にあり、2023年1-11月には20%を割り込んだことが、エネルギー市場調査会社SNEリサーチのデータで明らかになりました。本稿では、韓国バッテリーメーカーの現状と、中国メーカーの躍進について詳しく解説します。
韓国バッテリー3社、シェア縮小の現状
LGエナジーソリューション、SKオン、サムスンSDIの韓国バッテリー3社は、それぞれ成長を記録しているものの、世界シェアは減少しています。2023年1-11月の3社の合計シェアは19.8%と、2020-2021年の30%台から大きく下落しました。
LGエナジーソリューション:世界3位を維持もシェアは減少
テスラ、フォルクスワーゲン、フォード、現代自動車グループなどにバッテリーを供給するLGエナジーソリューションは、2023年1-11月に91.4ギガワット時を使用し、世界シェア11.6%で3位を維持しました。前年同期比では6.9%増加しています。
LGエナジーソリューションのバッテリー
SKオン:現代・起亜EVの販売好調もシェア拡大には至らず
現代自動車「IONIQ 5」や「EV6」、起亜「EV9」などの販売好調を受け、SKオンは35.3ギガワット時を使用し、シェア4.5%で5位となりました。前年同期比では11.8%増加しています。
SKオンのバッテリー
サムスンSDI:BMW、リビアン好調もシェアはほぼ横ばい
BMWやリビアンへの供給は好調でしたが、アウディ「Q8 e-tron」の販売減少が影響し、サムスンSDIは28.9ギガワット時を使用。シェアはほぼ横ばいで、前年同期比0.1%増にとどまりました。
サムスンSDIのバッテリー
中国メーカーの躍進:内需と新興国市場で優位
韓国メーカーのシェア減少の背景には、中国メーカーの躍進があります。中国メーカーは、巨大な国内市場をほぼ独占していることに加え、新興国市場でも成長を続けています。
CATL:世界シェアトップを独走
世界1位のCATLは、289.3ギガワット時を使用し、シェア36.8%を記録。前年同期比28.6%増と大きく成長しました。
BYD:2位に浮上
BYDは、134.4ギガワット時を使用し、シェア17.1%で2位に浮上。前年同期比35.9%増と、こちらも大幅な成長を見せています。
CALB:順位を上げる
CALBも36.3ギガワット時を使用し、シェアを伸ばして4位に上昇しました。前年同期比は22.2%増です。
韓国バッテリーメーカーは、欧米市場中心の戦略を見直し、新興国市場への進出や、次世代電池の開発など、新たな戦略が必要となるでしょう。 自動車産業の電動化が加速する中、今後のバッテリー市場の動向に注目が集まります。