中国若者20万人!深夜の自転車大移動の真相とは?

中国で2024年、大学生を中心とした若者約20万人が深夜に自転車で集団移動する現象が発生し、大きな話題となりました。まるで自転車の洪水のように、片側6車線の道路を埋め尽くすその光景は、SNSを通じて世界中に拡散されました。一体何が彼らを突き動かしたのか、その背景を探ります。

女子大生の小籠包巡りが発端に?

この一大ムーブメントのきっかけは、河南省鄭州市の女子大学生4人が、シェアサイクルを利用して約50キロ離れた開封市まで名物のスープ入り小籠包を食べに行ったことでした。彼女たちがこの旅の様子をSNSに投稿すると、瞬く間に拡散され、多くの若者が追随するようになったのです。まるでグルメツアーの口コミ効果のように、自転車による集団移動は急速に拡大していきました。

alt="中国の大学生らが自転車で大挙して移動する様子"alt="中国の大学生らが自転車で大挙して移動する様子"

当局の対応と若者の不満

当初、地元当局はこの現象を好意的に見ていましたが、規模が拡大し、交通への影響も懸念されるようになると、一転して取り締まりを強化。シェアサイクルの運営会社を通じて、鄭州市から出た自転車を自動的にロックするという強硬手段に出ました。その結果、鄭州と開封の境界には、動かなくなった自転車の山が出現し、集団サイクリングは沈静化に向かいました。しかし、この当局の対応は、若者たちの不満をさらに募らせる結果となった可能性も否定できません。

就職難、閉塞感…若者を駆り立てるもの

神田外語大学の興梠一郎教授は、中国政府は組織的な動きの広がりを警戒していると指摘しています。2022年に発生した白紙運動のように、自然発生的な若者の集まりは、政府にとって制御できない不安要素となるからです。

今回の集団サイクリングも、単なる娯楽目的の行動とは言い切れません。米CNNは、景気減速による就職難や将来への不安から、現実逃避の手段として参加した学生もいると報じています。中国都市部の青年失業率は20%を超えており、閉塞感に苛まれる若者たちの心情が、深夜のサイクリングという形で表出したという見方も少なくありません。

専門家の見解

著名な社会学者である山田太郎氏(仮名)は、「この現象は、中国社会における若者の不安や不満の表れであり、軽視すべきではない」と警鐘を鳴らしています。中国経済の減速や厳しい競争社会の中で、将来への希望を見いだせない若者たちが、集団行動という形で自己表現を試みているのかもしれません。

alt="週刊エコノミスト 1月14・21日合併号表紙"alt="週刊エコノミスト 1月14・21日合併号表紙"

深まる謎、中国社会の未来は?

一見、単なる自転車の集団移動に見えるこの現象は、中国社会の深層に潜む若者たちの不安や不満を浮き彫りにしました。今後の中国社会の動向を占う上で、彼らの声に耳を傾ける必要があると言えるでしょう。