米鉄鋼大手クリーブランド・クリフスのロレンソ・ゴンカルベス最高経営責任者(CEO)は6日、日本製鉄とUSスチールの提訴に対し争う意向を示す声明を発表した。同盟を結ぶ日本を「中国以上に有害なダンピング(不当廉売)の歴史がある」と批判。国家安全保障上のリスクを理由に米政府が買収阻止を決めたのは正当と訴えた。
ゴンカルベス氏は声明で「日本には中国にも増して、数十年にわたる鉄鋼過剰生産と米国への有害なダンピング(不当廉売)の歴史がある。日鉄の過去の不公正な貿易慣行で、中産階級の雇用が破壊された」と持論を展開。日本企業によるUSスチール買収は「国家安全保障に悪影響を及ぼす」と主張し、バイデン大統領のみならずトランプ次期米大統領も買収に反対していると強調した。
「買収阻止に向け、クリフス社が不当な行為を働いた」との日鉄の主張について「根拠がない。我々は訴訟の準備を整えており、法廷で事実を明らかにすることを楽しみにしている」と争う考えを明記した。【ワシントン大久保渉】