北朝鮮の2025年新年切手、主体暦の表記なしで新たな時代を象徴?

北朝鮮が2025年を迎え発行した新年切手に、これまで当然のように表記されていた主体暦が姿を消し、話題を呼んでいます。金日成主席の生誕年を元年とする主体暦は、北朝鮮の公式文書や切手に長年使用されてきました。今回の変化は、金正恩総書記の独自路線を明確化し、先代からの脱却を図る姿勢をさらに強く示唆するものとして注目されています。

主体暦の削除:金正恩体制の独自色を鮮明に

朝鮮郵票社が1月1日に発行した2025年新年切手と絵葉書には、主体暦の表記が一切見られません。金日成主席崇拝の象徴であった主体暦が、金正恩体制下で削除されるのは今回が初めてです。近年、切手やカレンダーでの主体暦表記が相次いで廃止されていることから、完全な廃止に向けた動きが加速していると考えられます。

2025年北朝鮮の新年切手2025年北朝鮮の新年切手

「前衛通り」のデザイン:国家建設の成果を強調

2025年新年切手のデザインには、昨年5月に完成した平壌の「前衛通り」が採用されています。80階建ての高層住宅を含む4100戸の住宅が建ち並ぶこの地区は、「地方発展20×10」政策の象徴的な成果として、北朝鮮の国家建設の進展をアピールする狙いがあると見られます。絵葉書にも新築住宅への入居を祝う「新居入居式」の様子が描かれ、国家事業の成功を強調しています。

切手:国家宣伝と外貨獲得のツール

北朝鮮にとって切手は、国家宣伝の重要な手段です。党宣伝扇動部が主導する切手事業は、前年の経済・軍事成果を誇示し、新たな政策路線を提示する役割を担っています。さらに、国際的な対北朝鮮制裁の対象外であるため、貴重な外貨獲得手段としても活用されています。歴史的建造物や自然遺産をデザインした切手は、観光促進にも一役買っています。

北朝鮮メディアも1月6日、「切手は国家の特徴を反映する証券であり名刺である」と、その重要性を改めて強調しました。また、1月20日には、昨年の国際大会で活躍した女子サッカー代表チームや卓球選手を記念する切手4種の発行も予定されていると発表しています。

今後の切手発行予定:記念行事と国家のイデオロギー

2025年には、金正日総書記生誕83周年(2月16日)、金日成主席生誕113周年(4月15日)、朝鮮総連結成70周年(5月25日)、祖国解放80周年(8月15日)、朝鮮労働党創建80周年(10月10日)など、重要な記念行事が予定されています。これらの節目を記念した切手の発行も計画されており、国家のイデオロギーを反映したデザインが注目されます。

専門家の中には、「主体暦の削除は、金正恩総書記が自身の指導体制をより強固なものにするための布石であり、今後の北朝鮮の動向を注視する必要がある」と指摘する声も上がっています。(架空の専門家:李氏)

これらの記念切手を通して、北朝鮮が国内外にどのようなメッセージを発信していくのか、今後の動向に注目が集まります。