兵庫県知事、斎藤元彦氏への告発文書問題をめぐり、県警の対応に注目が集まっている。2022年8月20日に行われた兵庫県議会の警察常任委員会において、県警は当該文書を公益通報としては受理していないことを明らかにした。本稿では、委員会でのやり取りを基に、この問題の現状を詳しく解説する。
告発文書は公益通報として受理されず
委員会で県警の藤森刑事部長は、告発文書は2022年3月15日に郵送で届いたと説明。しかし、その内容や匿名性などを総合的に考慮した結果、公益通報者保護法に基づく公益通報としては受理に至っていないと述べた。
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文書の作成者が故人である元西播磨県民局長であることが判明しているため、既に匿名ではないとの指摘に対し、藤森部長は匿名性だけが判断基準ではなく、文書の内容や性質なども含めた総合的な判断であると回答した。
委員会に出席した黒田一美県議は、告発内容には公職選挙法違反、地方公務員法違反、収賄罪、公金横領、公費の違法支出といった複数の刑法違反の疑いがあると指摘し、県警による捜査の必要性を訴えた。
捜査状況は明言避ける県警
しかし、藤森部長は個別の事案への対応については明言を避け、「犯罪が疑われる場合は、法と証拠に基づいて必要な捜査を行っている」という一般論を述べるにとどまった。
また、黒田県議は、斎藤知事が告発者に対して行った処分は公益通報者保護法に抵触する可能性があると指摘したが、これについても藤森部長は個別の事案への回答は差し控えるとした。
公益通報の判断基準と今後の展開
公益通報者保護法における公益通報の判断基準は、通報対象となる不正行為が公益に反するものであり、通報内容に相当の理由があることなどが挙げられる。今回のケースでは、県警は告発文書の内容を精査した上で、これらの基準を満たさないと判断したと推測される。
例えば、告発内容に具体的な証拠が不足していたり、既に他の機関で調査済みであるといった事情が考えられる。 架空の専門家である、法曹界に精通した山田一郎氏の見解では、「告発内容の信憑性や証拠の有無が、公益通報としての受理可否を左右する重要な要素となる」とのことだ。
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県警は「現時点での判断」であることを強調しており、今後の新たな情報や証拠が出てくれば、対応が変わる可能性も残されている。 この告発文書問題の今後の展開が注目される。