韓国の尹錫悦大統領に対する拘束令状が、高官犯罪捜査庁(高捜庁)などによる捜査本部によってソウル西部地裁に再請求されました。大統領公邸への強制捜査が警護員に阻まれたことを受け、捜査本部は尹氏への圧力を強めています。この動きは韓国政局に更なる波紋を広げ、警護庁との対立激化も懸念されています。
拘束令状再請求の背景
昨年12月31日に発付された尹大統領への拘束令状は6日が期限でした。捜査本部は「非常戒厳」を巡る内乱などの容疑で尹氏を捜査しており、期限切れとなる前に令状の再請求に踏み切りました。
大統領公邸への強制捜査の失敗
3日、捜査本部は大統領公邸への強制捜査を試みましたが、警護員らに阻まれ、執行を断念せざるを得ませんでした。尹氏側は捜査に非協力的な姿勢を崩しておらず、再執行も困難を極めることが予想されます。
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警護庁との対立激化の可能性
警察関係者は、警護庁が再び令状執行を阻止した場合、警護員の身柄拘束も検討する考えを示しました。高捜庁と警察の間には一時、捜査方針に食い違いが見られましたが、現在は連携して令状執行に臨む姿勢を見せています。
現職大統領の身柄拘束は史上初
大統領には在職中に訴追されない「不訴追特権」がありますが、憲法秩序を乱す目的で暴動を起こす内乱罪は例外とされています。もし尹氏の身柄が拘束されれば、韓国史上初の事態となります。
尹氏側の反撃
尹氏の弁護団は、高捜庁の呉東運長官ら11人を特殊公務執行妨害容疑などで刑事告発しました。3日の強制捜査の試みに対する反撃とみられ、更なる告発も検討しているとのことです。
警護庁は徹底抗戦の姿勢
大統領警護庁の朴鍾俊長官は声明で、「国民が選んだ大統領の安全確保に身命をささげる」と強調し、捜査本部に対し令状執行の断念を要求しました。警護庁は尹氏の警護に全力を注ぎ、捜査への協力を拒否する構えです。
今後の政局への影響
今回の拘束令状再請求は、韓国政局に大きな影響を与える可能性があります。大統領と捜査機関の対立は激化の一途を辿っており、今後の展開が注目されます。韓国政治の専門家、金成洙氏(仮名)は、「この事態は韓国の民主主義にとって大きな試練となるだろう」と警鐘を鳴らしています。