大統領府周辺の厳戒態勢強化を受け、韓国政界の緊張感が高まっている。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領への逮捕状の有効期限が切れ、再請求が審議される中、大統領官邸周辺の警備はさらに強化されている。大統領官邸がある漢南洞(ハンナムドン)では、大型バスや鉄条網が配置され、まるで要塞と化している。
大統領官邸、鉄壁の防御体制
逮捕状執行の再試行に備え、大統領警護処は官邸周辺の警備を大幅に強化した。7日午前には、大統領官邸の正門と後方に複数の大型バスが配置され、鉄壁の防御線を築いた。さらに、高位公職者犯罪捜査処と警察が迂回ルートとして使用していた山道には、輪っか状の鉄条網が新たに設置された。まるで要塞のような厳戒態勢に、緊迫感が漂っている。
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警察特攻隊投入の可能性も
国家捜査本部は、尹大統領への逮捕状再執行に向けて、警察特殊部隊である警察特攻隊の投入を検討している。初回の逮捕状執行時にも検討されたが、最終的には見送られた。しかし、警護処の警備強化を受け、国家捜査本部はより強硬な手段を検討せざるを得ない状況に追い込まれている。
国家捜査本部、人員増強を検討
初回の逮捕状執行では、国家捜査本部は捜査官120名と機動隊員2700名を動員したが、今回はさらに多くの要員投入を検討している。警護処が「人間の壁」を作って抵抗したことを踏まえ、人員増強は不可避との見方が強い。前回は警護処職員や軍関係者が官邸前に立ち並び、国家捜査本部と高位公職者犯罪捜査処の合同チーム150名のうち、官邸に近づけたのはわずか3名だった。
令状執行妨害への強硬姿勢
国家捜査本部は、令状執行を妨害する警護処職員に対しては、積極的に逮捕する方針だ。裁判所が発布した令状執行を実力で阻止することは、特殊公務執行妨害罪に該当すると主張している。3日の逮捕状執行の際にも、警護処首脳部に対する逮捕の必要性を訴えたが、高位公職者犯罪捜査処が現場の混乱を懸念し、見送られていた。
警護処長の出頭拒否も捜査を後押し
朴鍾俊(パク・ジョンジュン)警護処長は、国家捜査本部の召喚要求に応じず、出頭を拒否している。弁護人の選任が済んでいないことを理由としているが、国家捜査本部は10日の出頭を改めて要求した。このような警護処側の姿勢も、国家捜査本部の強硬姿勢を後押しする要因となっている。
専門家の意見として、韓国の政治評論家、キム・ヨンチョル氏は、「警護処は大統領府への家宅捜索も2度にわたり妨害しており、大統領の逮捕状執行に対しても組織的な抵抗を計画していた可能性が高い。司法手続きを軽視する姿勢が明白であり、国家捜査本部はより断固とした対応を取るべきだ」と指摘している。
逮捕状再請求の行方
ソウル西部地裁は、高位公職者犯罪捜査処が再請求した尹大統領への逮捕状発付の可否を検討している。今後の司法判断が、韓国政界の行方を大きく左右することになるだろう。