金正恩総書記、41歳誕生日の最新映像に見え隠れする北朝鮮の思惑とは?

北朝鮮の金正恩総書記は1月8日に41歳の誕生日を迎えました。誕生日に関連する公式映像はまだ公開されていませんが、最新の映像では工場を視察する金総書記を市民が涙を流しながら熱烈に歓迎する様子が映し出されています。この映像、そして近年の北朝鮮メディアの演出から、同国の思惑を読み解いていきましょう。

祝賀イベントに登場した「謎の子供たち」

北朝鮮は1月6日に新型極超音速中距離弾道ミサイルを発射し、金総書記が娘のジュエ氏と見られる人物と共にその様子を見守る写真を公開しました。国際社会への存在感のアピールともとれるこの行動と時を同じくして、新年祝賀イベントの映像に映ったあるシーンが憶測を呼んでいます。

alt 新年祝賀イベントの様子alt 新年祝賀イベントの様子

80歳を超える名物アナウンサー、リ・チュニ氏が司会を務めたこのイベントでは、新年を迎えた瞬間に金総書記とジュエ氏が抱擁を交わす様子が放映されました。しかし、イベント開始前に会場に入場する親子3人の姿が注目を集めているのです。わずか3秒ほどの映像ですが、子供の手を引く人物は金総書記の妹、金与正氏とみられています。そして、その子供たちこそが金与正氏の娘と息子、つまり金正恩総書記のめいとおいの可能性があると韓国国家情報院は分析しています。

なぜ今、子供たちの映像を公開したのか?

これまで公の場に姿を見せてこなかったとされる与正氏の子供たち。なぜ北朝鮮当局は今、この異例ともいえる映像を公開したのでしょうか?

龍谷大学の李相哲教授は、「幹部たちが家族を連れて新年を迎える和やかな様子を映すことで、政権の安定性をアピールし、金正恩総書記の自信を示そうとした」と分析しています。韓国の不安定な政治状況とは対照的に、北朝鮮では“金一族による体制”が盤石であることを強調するために、ジュエ氏だけでなく、与正氏の子供たちまで登場させたと推測されています。

“慈愛に満ちた父”の演出?

ペンライトを使った祝賀イベントの様子や親子の抱擁シーンなど、北朝鮮当局の思惑が随所に散りばめられていると李教授は指摘します。「これまで残忍な独裁者として世界に認識されてきた金正恩総書記のイメージを払拭し、“優しく慈愛に満ちた父”という側面を演出することで、国際社会からの印象操作を図っている」と分析しています。

今後の動向に注目

北朝鮮のメディア戦略は巧妙化しており、今回の映像もその一環と言えるでしょう。金正恩総書記の誕生日を祝う公式映像の公開も予想されます。今後の動向に注目が集まります。