【台北=田中靖人】来月11日に投票される台湾の総統選で、3候補者による2回目のテレビ政見発表会が25日、行われた。再選を目指す与党、民主進歩党の蔡英文(さい・えいぶん)総統(63)は経済政策を中心に1期目の成果を訴えたが、ここでも中国との関係が影を落とした。
蔡氏は、経済成長率が直近の2四半期連続で韓国など「アジア4小竜」の中で1位となったことなどを挙げ「経済は好転している」と強調。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)への台湾の加盟を「中国が妨害している」と指摘した。
これに対し、最大野党、中国国民党の韓国瑜(かん・こくゆ)高雄市長(62)は、中国当局が中台間の自由貿易協定(FTA)に相当する「両岸経済枠組み協定(ECFA)」の終了を示唆していることを念頭に、「中小企業はECFA終了を恐れている。輸出の40%を占める中国市場は絶対に放棄できない」と対中関係の改善を訴えた。
野党、親民党の宋楚瑜(そう・そゆ)主席(77)は「蔡政権はサンタクロースのように(バラマキ政策の)小切手を切っている」と蔡氏を批判する一方、蔡氏への個人攻撃を繰り返す韓氏にも「感情的な行動で問題解決ができるのか」とクギを刺した。