オンラインカジノ問題:若者を蝕む闇と依存症の深刻化

オンラインカジノという言葉は、2022年の阿武町コロナ給付金誤送金問題で日本社会に衝撃を与えました。そして2024年、大谷翔平選手の巨額詐欺事件で再びその危険性が浮き彫りになりました。この問題は、単なる個人の責任で片付けられるものではなく、社会全体で真剣に向き合うべき深刻な課題です。

オンラインカジノのイメージオンラインカジノのイメージ

なぜ依存症対策は進まないのか?

オンラインカジノに限らず、ギャンブル依存症が原因の事件は後を絶ちません。しかし、効果的な対策はなかなか進展していません。その背景には、依存症を生み出す産業の存在と、消費者問題という複雑な構造があります。

アルコール、薬物、ギャンブル、ゲームといった依存性のある商品やサービスを提供する産業は、経済活動の一環として存在しています。同時に、これらの依存症対策も必要とされていますが、両者はしばしば同じ省庁の管轄下に置かれ、対策が後手に回ってしまうというジレンマを抱えています。

依存症対策の予算は、その深刻さに比べてあまりにも少なく、ギャンブル業界の巨大な収益に太刀打ちできていません。例えば、公営ギャンブルやパチンコの市場規模は20兆円にものぼる一方で、依存症対策予算はわずか9億円程度に過ぎません。このアンバランスな状況が、対策の遅れにつながっているのです。

オンライン化が加速させる依存症の蔓延

コロナ禍は、人々の生活を一変させ、依存症リスクを高める要因が増加しました。外出自粛や社会不安の中で、手軽にアクセスできるオンラインギャンブルは急速に広まりました。

公営ギャンブルもオンライン化を進め、新規登録キャンペーンや友達紹介制度などで利用者を増やし、巨額の収益を上げています。特に競艇は過去最高の売上を記録しました。

そして、違法であるにもかかわらず、オンラインカジノも蔓延しています。地上波テレビCMやアフィリエイト、YouTuberによる宣伝活動が、違法性を認識させないまま利用者を増やし、2023年度の市場規模は1兆円に達したと推定されています。

ギャンブル依存症の相談窓口ギャンブル依存症の相談窓口

若者を狙うオンラインカジノの罠

オンラインカジノは、スマホネイティブ世代の若者を中心に広がりを見せています。ギャンブル依存症の相談者の約4割が20代というデータも、その深刻さを物語っています。

20代の若者は、借金できる金額が限られているため、家族や友人にも影響が及ぶ可能性が高いです。また、闇バイトや振り込め詐欺などの犯罪に手を染めてしまうリスクも高まります。さらに、ギャンブル問題が原因で自殺に至るケースも発生しています。

専門家の声

「若年層のオンラインカジノ依存は深刻な社会問題です。違法業者への取り締まり強化だけでなく、教育機関や家庭での啓発活動も重要です。」(依存症専門医、山田一郎氏・仮名)

まとめ

オンラインカジノ問題の深刻化は、社会全体で取り組むべき課題です。違法業者への対策強化だけでなく、依存症予防教育や相談支援体制の充実など、多角的なアプローチが必要です。未来を担う若者を守るため、今こそ行動を起こすべき時です。