日本のひとり親世帯の半数が相対的貧困にあるという現状をご存知でしょうか?生活のために懸命に働くシングルマザー・ファザーたちは、お金も時間も常に逼迫し、子どもたちに我慢をさせていることも少なくありません。「自転車を買ってあげられない」といった経済的な困難だけでなく、子どもたちは親の苦労を察し、自ら「やりたい」という気持ちを抑えてしまうこともあるのです。今回は、2人の子どもを育てながら働くシングルマザー、池崎愛子さん(仮名)のリアルな声を通して、ひとり親世帯が直面する厳しい現実と、その中で育つ子どもたちの現状に迫ります。
離婚と経済的困難:看護師でも苦しい生活
池崎さんはデイケアで看護師として働いています。4歳と2歳の子どもを持つシングルマザーです。夫の暴力や夜遊びが原因で離婚を決意しましたが、経済的な状況はさらに悪化しました。
夫からの収入なし:実質母子家庭状態
実は、結婚していた当時から夫は家計にお金を入れておらず、光熱費のみを支払っていたとのこと。実質的には母子家庭に近い状態だったと言います。
看護師の仕事イメージ
次男の妊娠を機に夫婦仲は悪化し、出産後は家庭内別居状態に。夫は夜遊びを繰り返し、話し合いを求めても喧嘩になるばかり。子どもたちと家を出て数日後、戻ってみると別の女性が家にいたという衝撃的な出来事も経験しました。
暴力と別居:子どもたちの心に深い傷
夫は池崎さんの前で子どもを蹴るなどの暴力も振るっていたそうです。幼い次男は当時の記憶が蘇り、今でもその時の話をするときがあるといいます。赤ちゃんの頃、泣き止まない次男をソファーに投げ落とすといった虐待もあったと池崎さんは語ります。
少ない収入と養育費未払い:自転車すら買えない現実
看護師として働く池崎さんですが、子育てと保育園の送迎のため夜勤ができず、収入は手取り19万円ほど。以前は30万円近くあった収入も、子どもの誕生とともに大きく減ってしまいました。
就学援助と児童手当:それでも足りない生活費
就学援助、児童手当、児童扶養手当などを受け取っていますが、生活は苦しく、学童保育の費用も月8000円に抑えています。養育費は一切支払われていません。
子どもと母親
離婚直後は子どもたちの誕生日にプレゼントが届いたり、動物園に連れていく連絡が来ることもあったそうですが、それも1、2年後には途絶え、音信不通の状態が続いています。
我慢する子どもたち:習い事も叶わない
子どもたちは習い事をしたいと言い出すこともありません。経済的な理由だけでなく、送迎も難しいからです。夫に車を持っていかれたため、移動手段は自転車と公共交通機関のみ。行動範囲も限られてしまいます。
子どもたちの未来のために:社会の支援が必要
夏祭りで子どもたちに渡した小遣いは、めだか釣り1回で終わってしまったといいます。子どもたちは親の苦労を理解し、「お金がかかるから…」と遠慮してしまうのです。 子どもの貧困は、経済的な問題だけでなく、子どもたちの可能性を狭めてしまう深刻な問題です。池崎さんのように懸命に働くシングルマザー・ファザーを支え、子どもたちが夢を諦めずに成長できるよう、社会全体で支援していく必要があるのではないでしょうか。
この現状を打破するために、私たち一人ひとりができることは何か、考えてみませんか?