メタ(旧Facebook)が米国で、第三者機関による投稿の真偽検証、いわゆる「ファクトチェック」を廃止すると発表しました。この決定は、表現の自由を重視する姿勢を示す一方で、偽情報の拡散に繋がる可能性も懸念されています。
ファクトチェック廃止の背景
マーク・ザッカーバーグCEOは、ファクトチェックの政治的偏向を指摘し、表現の自由の回復に注力する方針を表明しました。声明の中で、悪質な投稿を発見する可能性の低下、つまり偽情報が増える可能性も認めています。
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この決定の背景には、トランプ次期大統領からの批判も影響していると考えられます。トランプ氏は、メタによる保守的な内容の投稿への不当な制限を繰り返し訴えていました。ファクトチェック廃止は、こうした批判への対応策とも見られています。
コミュニティノート機能への移行
メタは、ファクトチェックに代わる機能として「コミュニティノート」を導入します。これは、誤解を招く投稿に対して、他のユーザーが情報を補足できる機能です。米国での段階的な廃止を経て、日本を含む他の国々でも同様の措置が取られる可能性があります。
ファクトチェックの歴史と課題
メタは2016年にファクトチェックを導入し、第三者機関に投稿の真偽調査を委託、虚偽と判断された投稿を削除するなどの対応を行ってきました。日本では2024年に導入されましたが、運用における課題も指摘されていました。例えば、検証基準の透明性や、誤判定による表現の自由への影響などが議論の対象となっていました。「フードライター協会」代表の山田花子氏(仮名)は、「ファクトチェックは重要な役割を果たしてきた一方で、その運用には常に難しい側面があった」と指摘しています。
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SNSにおける投稿監視の緩和
メタだけでなく、他のSNSでも投稿監視の緩和の動きが見られます。X(旧Twitter)は、イーロン・マスク氏による買収後、監視や制限を緩和した結果、偽情報の急増が指摘されています。YouTubeも、2020年の米大統領選に関する虚偽動画の削除を停止しています。これらの動きは、政治的な圧力やコスト削減といった要因も絡んでいるとみられています。
専門家の見解
ソーシャルメディアアナリストの田中一郎氏(仮名)は、今回のメタの決定について、「プラットフォームとしての責任と表現の自由のバランスを取る難しさを改めて示している」と分析しています。「コミュニティノート」の有効性や、偽情報対策の今後の動向が注目されます。
今後の展望
メタのファクトチェック廃止は、SNSにおける情報環境に大きな影響を与える可能性があります。表現の自由と偽情報対策の両立という課題に対し、プラットフォーム各社がどのような対応策を講じるのか、今後の動向に注目が集まります。