日本のゲームセンター:生き残りをかけた進化と二極化の波

近年、日本のゲームセンターを取り巻く環境は大きく変化しています。かつての賑わいはどこへやら、倒産が相次ぎ、店舗数は減少の一途を辿っています。2024年は様々な業種で倒産数が過去最高を記録しましたが、ゲームセンター業界もその例外ではありません。帝国データバンクの調査によると、ゲームセンターの倒産数は2年連続で増加し、過去5年間で最多となりました。この10年間で8000店近くが姿を消し、直近5年間では3割減という深刻な状況です。本稿では、激変するゲームセンター業界の現状と、生き残りをかけた進化について探っていきます。

ゲームセンター業界の二極化:大型店と小型店の明暗

ゲームセンター業界の現状を分析した書籍『ゲームセンター文化論』の著者である加藤裕康氏によると、ゲームセンターは大型店と小型店の二極化が進んでいるとのことです。日本アミューズメント産業協会の調査データ(2021年まで)を基に、ゲーム機設置台数を比較した結果、201台以上の大型店の数は増加傾向にあることが明らかになりました。

ゲームセンターの店内ゲームセンターの店内

これは、ラウンドワンやSEGAの「GiGO」といった大型店の台頭を反映しています。「GiGO」の看板を街中で見かける機会が増えたと感じている方も多いのではないでしょうか。一方で、ゲーム機20台以下の小型店も増加しています。加藤氏はこれについて、カプセルトイショップの増加が要因の一つではないかと推測しています。カプセルトイ市場は2023年度に約1150億円と前年度比59.7%増と急成長しており、この推測を裏付けています。

大型店の戦略:多様なエンターテイメントで集客

大型店は、ゲーム以外にも様々なエンターテイメントを取り入れることで、幅広い層の集客に成功しています。ボウリング、カラオケ、ダーツ、ビリヤード、トランポリン、VR体験など、家族や友人同士で楽しめるアクティビティが充実しています。また、飲食スペースを併設することで、長時間滞在を促す工夫も凝らされています。こうした複合型エンターテイメント施設としての進化が、大型店の生き残りの鍵となっていると言えるでしょう。

小型店の活路:カプセルトイやレトロゲームでニッチな需要を掴む

一方、小型店は大型店とは異なる戦略で生き残りを図っています。カプセルトイ専門店として特化したり、レトロゲームに特化した専門店として、特定の顧客層にアピールすることで、ニッチな需要を掴んでいます。また、地域密着型の経営で、地元のコミュニティとの繋がりを深めることで、固定客の獲得を目指している店舗も少なくありません。

今後のゲームセンター:進化か衰退か

ゲームセンター業界は、二極化が進む中で、生き残りをかけた進化を続けています。大型店は複合型エンターテイメント施設として、小型店はニッチな需要に応える専門店として、それぞれ独自の戦略で顧客獲得を目指しています。ゲームセンターは、単なるゲームを提供する場から、多様なエンターテイメント体験を提供する場へと変化を遂げつつあります。今後のゲームセンター業界は、進化を続けるのか、それとも衰退の一途を辿るのか、その行方はまだ見通せない状況です。