韓国銀行が2022年12月に実施した買い戻し条件付き債券(RP)の買い入れ総額は、47兆6000億ウォンに達しました。これは、新型コロナウイルス感染症が経済に大きな打撃を与えた2020年の年間買い入れ総額42兆3000億ウォンを上回る過去最大の規模です。一体何が起きているのでしょうか?この記事では、戒厳令下における韓国の金融市場の動向と、韓国銀行の異例の対応について詳しく解説します。
戒厳令と金融市場の不安
2022年12月、尹錫悦大統領による戒厳令発令は、韓国経済に大きな衝撃を与えました。金融市場は不安定化し、資金需要が急増する事態となりました。このような状況下、韓国銀行は金融市場の安定化を図るため、大規模な流動性供給に乗り出しました。
韓国銀行のRP買い入れとは?
韓国銀行は、金融市場の不安が高まった際に、RP買い入れを通じて短期ウォン流動性を供給しています。RP買い入れとは、金融機関が保有する国債や通貨安定債券などの安全性の高い債券を韓国銀行が一時的に買い入れることで、金融機関に資金を供給する仕組みです。一定期間後に韓国銀行は証券を売り戻し、流動性を回収します。これは、一時的な資金需要に対応するための超短期的な流動性供給策です。
韓国銀行
2022年、記録的なRP買い入れ額
韓国銀行は、2022年1月から11月までの間にすでに58兆5000億ウォンのRPを買い入れていました。そして、12月にはさらに47兆6000億ウォンを追加し、年間買い入れ総額は106兆1000億ウォンに達しました。これは過去最大の規模であり、戒厳令の影響がいかに大きかったかを物語っています。金融専門家、パク・スヨン氏は「これほどの規模のRP買い入れは前例がなく、金融市場の不安定さを如実に表している」と指摘しています。
無制限の流動性供給を宣言
李昌鏞総裁は、戒厳令発令直後に無制限の流動性供給方針を表明し、翌日にはRP買い入れ計画を発表しました。12月4日には10兆8000億ウォンのRP買い入れを実施するなど、迅速な対応に努めました。
韓国ウォン
RP残高も過去最高を記録
韓国銀行は、償還後残高の日平均値を基準に流動性供給量を把握しています。2022年12月のRP残高平均は14兆9000億ウォンに達し、これまでの最高値であった2020年6月の14兆ウォンを上回りました。これは、戒厳令の影響が長期化していることを示唆しています。
今後の金融市場の行方
韓国銀行の大規模な流動性供給により、金融市場は一時的に安定を取り戻しつつあります。しかし、戒厳令の長期化や世界経済の不透明感など、先行きには依然として不確定要素が多く残されています。今後の金融市場の動向に注目していく必要があります。韓国経済研究所のキム・ドンヒョン氏は「今後の金融政策は、経済の安定と成長を両立させる難しい舵取りが求められる」と述べています。
まとめ
戒厳令下における韓国銀行の対応は、金融市場の安定化に大きく貢献しました。しかし、今後の経済状況によっては、更なる対応が必要となる可能性もあります。韓国経済の行方は、予断を許さない状況が続いています。