韓国の尹錫悦大統領に対する弾劾審判の初弁論が14日、憲法裁判所で開かれました。当初、国会訴追団は尹氏による非常戒厳宣言に加え、刑法上の内乱罪も訴追事由に挙げていましたが、これを撤回し、戒厳令の発令の違憲性・違法性に争点を絞る方針を表明しました。この決定は審理の長期化を避け、早期決着を目指す狙いがあるとみられています。
弾劾訴追の背景と争点の絞り込み
2024年12月に国会で可決された尹氏の弾劾訴追案は、戒厳宣言の要件不備や政治活動を禁止した布告令の違憲性・違法性を主張していました。当初は国会への軍・警察投入を「刑法上の内乱罪」に該当するとも明記していましたが、国会訴追団はこれを撤回。尹氏に対する内乱容疑の捜査は合同捜査本部が進めており、刑事裁判で判断されるべきだと説明しています。
韓国の尹錫悦大統領
この争点の絞り込みは、最大野党「共に民主党」の李在明代表の公職選挙法違反事件の控訴審を控えていることも影響しているとみられています。李氏の有罪確定を回避するため、弾劾実現を急ぐ狙いがあるとされています。
尹氏側と与党の反発、世論の動向
一方、尹氏の弁護団は内乱罪が弾劾訴追の根幹だと主張し、撤回に強く反発。与党「国民の力」も国会での再審議を求めています。尹氏自身は初弁論を欠席する方針で、弁護団は期日の設定に異議を申し立て、さらに特定の判事の排除も求めています。
世論調査では、尹氏の弾劾に賛成が64%、反対が32%という結果が出ていますが、賛成は昨年12月と比べて11ポイント減少。内乱罪の撤回に国民は批判的な見方をしている可能性があります。
過去の弾劾審判との比較と今後の展望
過去の弾劾審判では、刑事責任を含めて判断したケース(2004年盧武鉉大統領)と、憲法・法令違反のみを検討したケース(2017年朴槿恵大統領)があり、憲法裁の判断が注目されます。憲法裁関係者は「自分たちが判断する」と述べており、今後の審理の行方が注目されます。
弾劾審判の行方と韓国政局への影響
今回の弾劾審判は、韓国政局の行方を大きく左右する可能性を秘めています。憲法裁判所の判断、そしてその後の政治的展開に、国内外から大きな注目が集まっています。今後の動向を注視していく必要があります。