ロサンゼルス近郊で発生した山火事。多くの住宅が焼失する甚大な被害の中、芥川賞作家である米谷ふみ子さん(94)も自宅を失う悲劇に見舞われました。 大切な思い出が詰まった家を失い、避難生活を余儀なくされている米谷さんの現状と、山火事の恐ろしさを改めてお伝えします。
94歳、芥川賞作家を襲った突然の災難
2023年11月7日、ロサンゼルス西部パシフィックパリセーズ。米谷ふみ子さんは自宅で穏やかな一日を過ごしていました。しかし、突如として発生した山火事は、瞬く間に彼女の生活を一変させました。
自宅を訪れていた孫たちに避難を促された米谷さん。当時、炎や煙には気づかず、避難の必要性を実感できなかったといいます。近隣で山火事が起きた経験もなかったため、「後で帰ってくればいい」と考え、何も持たずに家を後にしました。過去の山火事の記憶がないこと、そして94歳という高齢も、避難の判断を鈍らせた一因かもしれません。
ロサンゼルスで取材に応じる米谷ふみ子さん
避難生活の苦悩と自宅焼失の現実
しかし、火の手は容赦なく拡大。一時的に避難したサンタモニカのホテルも避難命令の対象となり、米谷さんは再び移動を強いられました。現在は、ロサンゼルス在住の孫の友人の両親宅に長男カール・グリーンフェルドさん(60)らと共に身を寄せています。
慣れない環境での生活は、94歳の米谷さんにとって大きな負担となっています。「よく眠れない」と語る彼女の言葉からは、心労が窺えます。避難生活の長期化、そして大切な自宅を失った喪失感は計り知れません。
焼け落ちた米谷ふみ子さんの自宅
グリーンフェルドさんは9日に現地を訪れ、米谷さんの自宅が全焼したことを確認しました。「過去が全部消えた」と語る米谷さん。自宅には、これまでの創作活動の記録や、人生の様々な思い出が詰まっていたことでしょう。火災の恐ろしさを改めて認識させられると同時に、被災者の心のケアの重要性も感じます。
山火事の脅威と防災の意識
カリフォルニア州では、乾燥した気候と強風により、山火事が頻発しています。今回の山火事も、発生から1週間が経過した現在もなお、鎮火には至っていません。専門家の中には、気候変動の影響を指摘する声も上がっています。
山火事の発生を完全に防ぐことは難しいかもしれませんが、早期避難の徹底や、日頃からの防災意識の向上が重要です。 米谷さんのケースは、私たち一人ひとりが防災について改めて考えるきっかけとなるのではないでしょうか。
今回の山火事により被災された方々へ心よりお見舞い申し上げます。そして、一日も早い復興を願っています。