ドナルド・トランプを作り上げた男、ロイ・コーン:映画『アプレンティス』で明かされる真実

「アプレンティス ドナルド・トランプの創り方」―― 刺激的なタイトルを冠した本作は、2025年1月17日に日本公開。若き日のドナルド・トランプと、彼の師とも言える弁護士ロイ・コーンとの関係を描いた、緊迫感あふれる実録ドラマです。師弟関係から決裂まで、二人の奇妙な絆を通して、トランプ氏がいかにして現在のスタイルを確立したのか、その秘密に迫ります。

若きトランプ、窮地に立たされる

1973年のニューヨーク。不動産王の父から事業を引き継いだ若きドナルド・トランプは、入居審査における人種差別疑惑で司法省から提訴され、窮地に立たされていました。事業継続の危機に直面する中、彼は運命の出会いを果たします。辣腕弁護士として名を馳せるロイ・コーン。大統領からマフィアまで幅広い人脈を持ち、どんな裁判も勝ち抜くと噂される男です。

若き日のドナルド・トランプ若き日のドナルド・トランプ

勝利の秘訣、そして歪んだ師弟関係

コーンはなぜかトランプに強い興味を示し、絶体絶命の裁判の弁護を引き受けます。そして、見事勝利へと導くのです。この勝利をきっかけに、二人の関係は深まり、トランプはコーンから成功哲学を叩き込まれていきます。「攻撃、攻撃、攻撃」「絶対に非を認めず、全否定しろ」「勝利を主張し続けろ」。現代のトランプ氏の言動にも通じる、まさに”勝利至上主義”とも呼べる教えです。

ロイ・コーンとドナルド・トランプロイ・コーンとドナルド・トランプ

映画『アプレンティス』で見えてくるもの

本作は、ジャーナリストでノンフィクション作家のガブリエル・シャーマンの綿密なリサーチと、イラン系デンマーク人監督アリ・アッバシの客観的な視点が融合した、生々しく刺激的な作品となっています。アッバシ監督は、異色のラブストーリー『ボーダー 二つの世界』で注目を集めた新進気鋭の監督。異質な存在同士の邂逅を描く手腕は、本作のテーマにも見事に合致しています。

トランプの戦略、その原点

映画『アプレンティス』は、トランプ氏の現在の戦略の原点とも言える、ロイ・コーンとの関係性、そして彼が授けた”勝利のルール”を深く掘り下げます。数々の修羅場を乗り越えてきたコーンの教えは、トランプ氏の政治スタイル、ビジネス戦略、そして彼を取り巻く熱狂的な支持層の形成に、どれほどの影響を与えたのでしょうか?本作は、現代アメリカ社会を理解する上で重要なカギとなる、数々の示唆を与えてくれるでしょう。