兵庫県を揺るがすパワハラ疑惑。斎藤元彦知事を巡る告発文書問題で調査にあたっていた県議会の百条委員会委員、竹内英明元県議が1月18日に自殺という痛ましい結末を迎えた。県民局長、担当課長に続き、3人目の犠牲者となってしまったこの事件。一体何が彼を追い詰めたのか、深く掘り下げて考えてみたい。
立花孝志氏によるSNSでの誹謗中傷
竹内元県議と親交の深かった「ひょうご県民連合」幹事長の上野英一氏によると、昨年11月の知事選頃からN国党党首、立花孝志氏によるSNS上での誹謗中傷が激化したという。立花氏は知事選に立候補しながらも斎藤知事への応援を表明し、知事の疑惑を追及する議員たちを攻撃していた。亡くなる1週間前、竹内元県議は同僚議員に「立花が怖い」と漏らしていたという証言もある。普段は気さく、誰からも好かれる竹内元県議が、どれほど追い詰められていたかを物語っている。
竹内英明元県議の遺影
ネットリンチの標的に
立花氏の扇動により、竹内元県議は“斎藤擁護派”ネットユーザーから激しいバッシングを受けることとなった。自宅住所がネット上に晒され、嫌がらせ電話やピンポンダッシュが繰り返されるなど、プライバシーを侵害される日々が続いた。家族もまた標的となり、子供たちは精神的に不安定になり、学校にも行けなくなってしまったという。
家族への影響
20年来の友人によると、高校時代の同級生が個人情報をネット上に公開したことが、竹内元県議にとって大きなショックだったという。身近な人からの裏切りと、家族への影響に深く傷つき、精神的に追い詰められていったようだ。闘病中の母親の死も重なり、自責の念に苦しんでいたという。
政治生命を絶たれた悲劇
竹内元県議は地域に根ざした活動で知られ、「政治家になるべくして生まれた」と言われるほどの人物だった。正義感に溢れ、誰からも信頼される存在だった彼が、なぜこのような悲劇に見舞われなければならなかったのか。インターネットにおける誹謗中傷の深刻さ、そして政治の闇を改めて考えさせられる事件と言えるだろう。
斎藤元彦兵庫県知事
メディアリテラシーの重要性
匿名性の高いインターネット空間では、誹謗中傷やデマ情報が拡散しやすく、個人の尊厳を著しく傷つける危険性がある。今回の事件は、メディアリテラシーの重要性を改めて認識させる契機となるだろう。情報を受け取る側だけでなく、発信する側も責任を持つ必要がある。
まとめ:何が彼を追い詰めたのか
竹内元県議の死は、ネットリンチ、政治的圧力、そして家族への思いなど、様々な要因が複雑に絡み合った結果と言える。誹謗中傷の加害者だけでなく、プラットフォーム提供者、そして社会全体でこの問題に向き合っていく必要があるだろう。 この事件を風化させず、二度と同じ悲劇を繰り返さないために、私たち一人一人にできることは何かを考えていきたい。