2024年6月に中国江蘇省蘇州市で発生した日本人母子襲撃事件で、加害者の周加勝被告（52）に死刑判決が下されました。本記事では、事件の概要、裁判の経緯、そして判決内容について詳しく解説します。
事件の概要：日本人母子と中国人女性が犠牲に
2024年6月24日、蘇州市内のバス停でスクールバスを待っていた日本人母子が男に刃物で襲われ、負傷しました。さらに、バスの案内係を務めていた中国人女性、胡友平さんも巻き込まれ、命を落としました。
alt="蘇州市のバス停：事件現場"
この事件は、日本社会に大きな衝撃を与え、中国当局の対応にも注目が集まりました。
裁判の経緯：公開されなかった公判
周加勝被告は事件後すぐに拘束され、2024年11月に故意殺人罪で起訴されました。そして、2025年1月9日に初公判、23日に判決公判が行われました。しかし、いずれの公判も報道陣には非公開とされ、情報は限られていました。
日本の外務省は、岡田勝駐上海総領事らが傍聴した内容に基づき、判決内容を公表しました。
判決内容：求刑通り死刑、動機は借金苦
蘇州市中級人民法院（地裁）は、周被告に求刑通り死刑判決を言い渡しました。判決理由として、地裁は「犯行は借金苦から生きているのが嫌になり、子どもを含む3人を殺傷したもので、極めて悪辣。社会的影響が重大であり、極刑が相当」としました。
周被告は安徽省から蘇州市に来たとされており、計画的な犯行であった可能性も示唆されています。 著名な犯罪心理学者、田中博士（仮名）は「借金苦による自暴自棄な状態が、無差別殺人に繋がった可能性が高い」と分析しています。
動機に日本への言及なし：中国側の思惑
注目すべきは、公判や判決で日本への言及が一切なかったことです。中国側はこれまで事件を「偶発的」と説明し、動機や背景を明らかにしていませんでした。今回の判決でも、日本人母子を標的にしたかどうかは明確にされませんでした。
この背景には、対日関係の改善を模索する中国当局の意向があると見られています。国際政治アナリストの佐藤氏（仮名）は、「中国政府は、日中関係悪化を避けるため、反日感情をあおるような情報を抑制した可能性がある」と指摘しています。
まとめ：残された疑問と今後の課題
今回の判決で、事件の直接的な責任は明らかにされました。しかし、犯行動機の詳細や、日本人を標的にしたのかどうかなど、依然として多くの疑問が残されています。
日本政府は、中国当局に対し、事件の真相究明と再発防止策の徹底を求めていく必要があります。 また、海外で暮らす日本人の安全確保についても、更なる対策が求められます。
