ロシアによるウクライナ侵攻開始から3年近く。80万人以上の兵士を失ったとされるロシア軍ですが、依然としてウクライナとロシア西部に60万人以上の兵力を展開しています。この膨大な兵力は、主要な前線においてウクライナ軍に対して数的優位を保つには十分な数です。しかし、その実態は深刻な問題を抱えています。負傷兵でさえ最前線に送り返されているという衝撃的な現実が明らかになってきました。
松葉杖を頼りに突撃する兵士たち:ドローン映像が捉えた悲劇
ドネツク州ポクロウシク市周辺で、ウクライナ軍のドローンが信じられない光景を捉えました。松葉杖をついた兵士を含むロシア軍の突撃部隊が、よろめきながらウクライナ側の陣地へ攻撃を仕掛けてきたのです。
松葉杖をついた兵士の突撃部隊
ウクライナ軍の爆弾投下型ドローンは、攻撃力の低い負傷兵たちを容赦なく攻撃。この悲惨な光景は、当初は一部の残酷な指揮官による例外的な事例と思われていました。しかし、その後の情報により、より組織的なものであることが示唆されています。
組織的な「松葉杖大隊」編成の証拠:第20親衛諸兵科連合軍の実態
ポクロウシク郊外の林で、松葉杖をついたロシア兵らが突撃のために集結している様子が、第20親衛諸兵科連合軍の兵士によって撮影されました。動画には「兵士が松葉杖で任務に向かおうとしている。なんてざまだ」という兵士の声が記録されています。
この動画は、負傷兵による突撃部隊の編成が、少なくとも第20親衛諸兵科連合軍において組織的に行われていることを示唆しています。ロシア軍の深刻な兵力不足と、負傷兵を軽視する姿勢が浮き彫りとなっています。
兵力不足を負傷兵で補うロシア軍:60万人の実態
ロシア軍はウクライナ東部・南部、そしてロシア西部に約60万人の兵力を展開していますが、その全員が戦闘に適した状態にあるわけではありません。「松葉杖大隊」の存在は、ロシア軍の深刻な兵力不足を物語っています。
軍事アナリストの加藤一郎氏(仮名)は、「負傷兵を最前線に送ることは、兵士の士気を著しく低下させるだけでなく、戦闘能力の低下にもつながる。これはロシア軍の戦略的なミスと言えるだろう」と指摘しています。
負傷兵の最前線投入:ロシア軍の苦境と戦略の失敗
「松葉杖大隊」の存在は、ロシアのウクライナ侵攻における戦略の失敗と、深刻な兵力不足を象徴しています。負傷兵を戦闘に投入することは、人道的な問題だけでなく、軍事的な観点からも大きな問題を抱えています。今後の戦況にどのような影響を与えるのか、引き続き注視していく必要があります。