吾峠呼世晴氏の漫画を原作としたアニメ『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』が、公開からわずか10日間で観客動員910万人超、興行収入128億円超という驚異的な数字を叩き出し、まさに社会現象を巻き起こしています。連日、映画館は超満員で、早朝から長蛇の列が見られる劇場もあるほどの人気ぶりですが、その一方で、これほど多くの人々が劇場に足を運ぶ中で、鑑賞マナーに関する問題が頻繁に取り沙汰されるようになっています。
大ヒットの影で顕在化する映画館でのトラブル
映画館における鑑賞マナーの問題は、今回の『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』の異例の観客動員数に伴い、連日SNS上でも多数のトラブル報告が相次いでいます。観客が増えれば増えるほど、マナー違反が目立つという現実が浮き彫りになっているのです。TOHOシネマズでは、この状況を受け、映画公開前の時間帯に『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 × TOHOシネマズ コラボマナー講座』の動画を放映し、劇中で活躍した宇髄天元などの人気キャラクターが登場して来場者への啓蒙に努めています。しかし、現時点ではマナーの普及は依然として大きな課題となっているようです。
劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来のキービジュアル。大ヒットを記録し社会現象となった本作の鑑賞マナーが問題視されている。
子どもと大人の鑑賞マナー違反、それぞれの実態
今回の映画は【PG12】区分に指定されており、12歳未満の観客も保護者の指導や助言があれば鑑賞が可能です。しかし、SNSでの報告で特に目立つのは、「親が注意しない」「上映中に騒がしい」「座席を後ろから蹴られる」といった、子ども連れの鑑賞マナーに関する苦言です。中には「階段をずっと昇り降りしていた」「一つの席に何人も座っていた」「映画館から出たいと駄々をこねていた」といった具体的な目撃情報も投稿されており、普段映画館に足を運ばない層が多数来場していることが、こうしたかつてない雰囲気を作り出しているのかもしれません。
一方で、トラブルの原因は子どもたちだけに限ったことではありません。「LINEの着信音が鳴り響いていた」「スマホやスマートウォッチの画面が光っていた」「おしゃべりが気になった」という声も多く、大人のマナー違反も決して少なくない状況が報告されています。もちろん、全ての観客のマナーが悪いわけではなく、中には子ども3人と生後数ヶ月にも満たない赤ちゃんを抱いて鑑賞しながら、上映中に全く物音を立てなかった家族に対し、「お母さんは全集中何の呼吸を使っていたのだろう。ここにも柱がいた」とその配慮を称賛する投稿もありました。
全ての観客が快適に楽しめる環境のために
『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』の記録的なヒットは、日本映画界にとって喜ばしいニュースであると同時に、映画鑑賞におけるマナーの重要性を改めて浮き彫りにしました。作品の素晴らしさを最大限に享受するためにも、私たち一人ひとりが映画館という公共の場での振る舞いを意識し、全ての観客が快適に、そして集中して映画の世界に没頭できるような環境を共に作り上げていくことが求められています。