フジテレビは、中居正広氏の女性トラブル対応への批判を受け、経営の根幹が揺らいでいる。27日に行われた記者会見では、港浩一社長、嘉納修治会長、遠藤龍之介副会長、そしてフジ・メディア・ホールディングスの金光修社長が出席し、経営陣の進退について説明を行った。今回の騒動は、単なる芸能スキャンダルの枠を超え、長年にわたり築き上げられてきた「日枝帝国」の崩壊を予感させるものとなっている。
経営陣の辞任表明と日枝氏の反応
スポニチの取材によると、23日の社員説明会前に港社長、嘉納会長、遠藤副会長の3氏がフジサンケイグループの日枝久代表に辞意を伝えたという。しかし、日枝氏は「こんなことで負けるのか、お前たちは!」と一喝し、辞任を認めなかったとされている。この発言に対し、社員からは「今回の問題を勝ち負けで考えているとは…」と驚きと落胆の声が上がっている。一方で、別の幹部社員は「日枝氏の言葉は、まずは信用回復に向けて取り組むべきだという意味であり、進退はその後で考えるべきだということではないか」と解釈している。
フジテレビ本社ビル
社員からの批判と日枝体制への不満
社員説明会では、多くの社員から「日枝体制が一掃されなければ会社は立て直せない」「日枝氏も含め、経営陣が辞めるべき」といった批判の声が噴出した。長年にわたり日枝氏が人事権を掌握し、”日枝さんのおかげ”という意識が蔓延している現状に、社員たちは強い不満を抱いている。
日枝氏の功績と影
日枝氏は、1980年に編成局長に就任し、「楽しくなければテレビじゃない」のスローガンを掲げ、82年には視聴率3冠を達成するなど、フジテレビの黄金時代を築き上げた功労者だ。しかし、その一方で、人事権を掌握し、「日枝帝国」と呼ばれるほどの絶対的な権力を築き上げてきた。局長以上の人事、そして役員人事は全て日枝氏の意向が反映されており、この体制が20年も続いているという。
フジテレビの未来
開局以来の未曽有の危機に直面するフジテレビ。会社が生き残るためには、経営陣の刷新は不可欠だ。日枝氏の動向が、フジテレビ、そしてフジサンケイグループ全体の未来を左右すると言っても過言ではない。今後の動向に注目が集まる。
日枝久氏とは?
「フジテレビの天皇」と呼ばれる日枝氏は、早稲田大学教育学部卒業後、1961年にフジテレビに入社。労働組合の書記長を務めた経験もある。編成局長などを経て、1988年に50歳で社長に就任。1990年代初頭には、オーナー一族の鹿内宏明氏に対抗する形でクーデターを画策し、実権を握った。政財界に太いパイプを持ち、森喜朗元首相ら歴代の首相とも親交が深い人物としても知られている。