石破首相、給付金「年内開始」を表明 参院選目標・コメ政策など毎日新聞単独インタビュー詳報

石破茂首相(自民党総裁)は2日、毎日新聞の単独インタビューに応じ、多岐にわたる政策方針について自身の考えを述べた。特に、全国民を対象とした新たな給付金に関して、「早くなければ意味がない」「年内には当然開始する」と明言し、迅速な実施を目指す考えを強調した。この給付金は、国民一人当たり2万~4万円が想定されており、マイナンバーカードにひも付いた公金受取口座を活用することで、スピードと事務負担の軽減を図る方針が示された。

給付金「年内開始」を表明、マイナ活用で迅速化

石破首相は、国民生活への支援策として検討されている給付金について、その実施時期の重要性を強調した。「給付を実現したが1年後でした、みたいなことにはならない」と述べ、補正予算の成立時期にもよるものの、遅くとも年内には給付を開始する意向を明確にした。給付方法については、マイナンバーカードと連携した公金受取口座を利用することで、行政側の手続きを効率化し、国民への迅速な支給を実現する狙いがある。これは、過去の給付金支給時に課題となった事務手続きの煩雑さや時間のかかりすぎへの反省を踏まえたものと言える。

首相官邸で毎日新聞の単独インタビューに応じる石破茂首相首相官邸で毎日新聞の単独インタビューに応じる石破茂首相

参院選目標「与党過半数」 – 厳しい状況認識示す

来たる参院選(3日公示、20日投開票)における与党(自民党・公明党)の獲得議席目標について、石破首相は「非改選議席(計75)と合わせ、過半数(計125)が必達ラインだ」との認識を示した。これは、改選議席(125議席のうち63議席が与党改選)の過半数を上回る目標ではないが、与党全体の安定的な議席確保を目指す姿勢を示したもの。この目標設定について、「それだけ状況が厳しいという認識だ」と述べ、政権を取り巻く現状への危機感をにじませた。さらに、参政党などの存在を念頭に置き、「自民党に代わる保守の選択肢も提示されている」と述べ、自民党への逆風や、新たな保守勢力の台頭が選挙戦に影響を与える可能性についても言及した。

連立枠組み拡大は「選択肢」 – 政策一致を重視

現在の自公連立政権の枠組みを拡大し、少数与党からの脱却を図ることについては、「選択肢の一つとしてあるだろうと思っている」と前向きな姿勢を示した。しかしその一方で、「一つのテーマだけの連立はあり得ない」と述べ、単一の政策課題のためだけに連携することは困難であるとの見解を重ねて表明した。連立政権を構築する際には、外交・安全保障政策や経済・財政政策といった重要政策分野において、基本的な考え方の一致が必要であるとの考えを示し、政策の根幹での連携を重視する姿勢を強調した。

コメ政策、農家支援を強化へ – 輸出と中山間地に着目

価格高騰が続くコメを巡る政策に関しては、生産コストの削減努力や輸出拡大に取り組む農家への財政支援に言及した。石破首相は「輸出というのは形を変えた備蓄だ。備蓄政策に寄与するものであれば、納税者に負担いただくことはあり得る」と述べ、国際市場への販路拡大が国家的な食料安全保障にも繋がるという認識を示し、そのための支援に国民の税金を投じることへの理解を求めた。また、大規模化が難しく、水源涵養(かんよう)機能など国土保全の役割を担う中山間地の農業についても言及。「中山間地で水源涵養機能を果たしているということになれば、その分に対する支払いがある」とし、多面的な機能を持つ農地・農家への支援の必要性を訴えた。

今回の毎日新聞の単独インタビューで、石破首相は給付金の年内開始、参院選の与党目標、連立政権への考え方、そしてコメ政策を含む農家支援といった喫緊の政治課題に対する具体的な方針や現状認識を示した。

参考資料:
毎日新聞 単独インタビュー 石破茂首相 2025年7月2日