2023年12月に東京都板橋区の踏切で起きた、塗装会社元社員の高野修さん(当時56歳)の死亡事件で、警視庁捜査1課は2025年1月29日、同社社長の佐々木学容疑者(39歳)ら3人を強制わいせつと暴行の容疑で再逮捕しました。高野さんは自殺に見せかけて殺害されたとみられており、すでに殺人容疑などで逮捕されていた4人に加え、今回の再逮捕で事件の残虐性がさらに浮き彫りとなりました。
常態化した虐待の実態
捜査関係者によると、佐々木容疑者ら3人は、2023年6月から7月にかけて、板橋区の高野さん宅や出張先の静岡県富士宮市の居酒屋で、高野さんの肛門に鉄棒やホースを挿入するなどのわいせつ行為を計4回にわたって繰り返した疑いが持たれています。また、社員の島畑明仁容疑者(34歳)と岩出篤哉容疑者(30歳)は、2022年7月に千葉市のビジネスホテルで高野さんの顔面を殴打したり、腹部を踏みつけるなどの暴行を加えた疑いも持たれています。
佐々木学容疑者
これらの暴行の様子は、島畑、岩出両容疑者のスマートフォンで撮影され、LINEのグループチャットで共有されていたことが明らかになっています。動画には、嫌がる高野さんを笑いながら虐待する様子が記録されており、常態的なパワハラ・虐待の実態が明らかになりました。
追い詰められた高野さん
警視庁は、高野さんが長期間にわたる虐待と暴行によって心身ともに追い詰められ、踏切内に入るよう強要された際にも抵抗できなかったとみています。「職場のハラスメント問題に詳しいA氏」は、「このような凄惨な事件は、被害者が声を上げにくい環境や、加害者側の支配的な関係性が背景にあることが多い」と指摘しています。
捜査の進展と今後の課題
高野さんは2023年12月3日、板橋区徳丸の東武東上線の踏切内で電車にはねられ死亡しました。警視庁は、高野さんを線路に立ち入るよう仕向けたとして、佐々木容疑者ら4人を殺人容疑などで逮捕していました。今回の再逮捕で、事件の全容解明に向けた捜査がさらに進展することが期待されます。
島畑明仁容疑者
この事件は、職場におけるハラスメントの深刻さを改めて浮き彫りにしました。再発防止のためには、企業によるハラスメント対策の強化だけでなく、社会全体で被害者を支える体制の構築が不可欠です。