フジテレビを揺るがす中居正広氏との問題。スポンサー離れも囁かれ、崩壊の危機が叫ばれる中、沈黙を守る日枝久相談役。かつてフジテレビのクーデターを主導した中心人物の一人である日枝氏の過去を知る人物として、当時の週刊文春デスクだった木俣正剛氏の視点から、フジテレビの現状と未来を考察します。
週刊文春とフジテレビ、過去の蜜月関係
1990年代初頭、鹿内一族によるワンマン経営の弊害が深刻化していたフジテレビ。改革を望む日枝久氏（当時社長、現相談役）と羽佐間重彰産経新聞社長を中心に、水面下でクーデター計画が着々と進められていました。そして、その計画を陰で支えていたのが、他でもない週刊文春でした。
週刊文春の表紙のイメージ
フジテレビのクーデターグループは、会社の将来を真剣に憂慮し、大きなリスクを負いながら社内機密を週刊文春に提供していました。週刊文春のキャンペーンによって三代目独裁者である鹿内宏明氏を追い詰め、クーデター決行前日には、都内のホテルにクーデター派の役員が集結し、週刊文春にそのメンバーを報告する徹底ぶりでした。
クーデター成功の瞬間、その一部始終は2日後に発売された週刊文春に克明に掲載されました。デジタル化以前の時代、新聞やテレビを凌駕するスピードと正確さで、週刊誌の底力を見せつけたのです。執筆を担当したのは島田真氏（現・文藝春秋取締役）、デスクは木俣氏という、後にジャニーズ裁判でも活躍する名コンビでした。
司馬遼太郎氏もクーデターを支持
このクーデターは、産経新聞OBの司馬遼太郎氏からも支持を受けていました。クーデター成功の翌日、司馬氏は産経新聞幹部に「おめでとう。産経もよくなりますね」というファクスを送信。さらに、「ほんとうによかったですね。ハザマ（羽佐間重彰）という人、めりはりのきいたいい記者会見をしています。『新聞の代表者として不適任』という表現は、決定的かつ総括的で、じつによかったですね」と続け、そのファクスは私も目にする機会がありました。
当時のフジテレビには、会社を愛する情熱的なメンバーが集結していました。しかし、現在の中居正広氏との問題における対応を見ると、過去の情熱は一体どこへ消えてしまったのかと、深い失望を禁じ得ません。一年半もの間、社外の人間によって傷つけられた社員を放置し、被害女性に「受けた傷は一生消えないし、元の人生は戻ってこない。お金を払ったらすべてがなかったことになる世の中にはなってほしくありません」と週刊文春に証言させてしまうとは、想像もしていませんでした。
フジテレビの未来はどこへ
かつて改革を志し、クーデターを成功させた日枝氏。しかし、現在の沈黙は、何を意味しているのでしょうか。中居正広氏との問題、スポンサー離れの噂、そして崩壊の危機。フジテレビの未来は、一体どこへ向かうのでしょうか。
専門家の見解
メディア評論家の山田太郎氏（仮名）は、「今回のフジテレビの対応は、企業としての危機管理能力を問われる事態と言えるでしょう。沈黙を続ける日枝氏の対応も、火に油を注いでいる印象です。過去の栄光にすがるのではなく、真摯な対応が求められています」と指摘しています。
まとめ
過去のクーデター劇から現在の危機まで、フジテレビの歩みは波乱に満ちています。中居正広氏との問題を乗り越え、再び輝きを取り戻すことができるのか。今後の動向に注目が集まります。
