異例の10時間会見で明らかになった2つのこと、フジテレビの「ガバナンス不在」と日本のジャーナリズムの「浅薄さ」


【写真】深夜に及ぶ記者会見でさすがに疲れたのか、目元に手をやる港浩一氏

 この対応ぶり、フジの親会社の株式を7.19%所有しているアメリカの投資会社ダルトン・インベストメンツは1月21日に「TVカメラを入れて全メディアを入れての記者会見をするべき」とフジ側に申し入れていた。27日の記者会見はこの要望を受けてのものだった。

 16時から行われた記者会見は翌28日午前2時33分までの約10時間30分ものロングラン記者会見となったが、内容はと言えば、大半が「グダグダ」だった。

 会見の様子を振り返ってみよう。

■ 社長・会長が揃って辞任

 東京・お台場のフジテレビで行われた記者会見ではフジの港浩一社長、嘉納修治会長、遠藤龍之介副会長、フジ・メディア・ホールディングスの金光修社長の4人が登壇。

 初めに嘉納会長が代表して謝罪し、4人でそろって約10秒間頭を下げた。続いて嘉納会長と港社長がそれぞれ改めて謝罪し自らの辞任を発表。

 ここで新社長に就任することが発表されたフジ・メディア・ホールディングス(FMH)の清水賢治専務が登壇し「ゼロからのスタート」とあいさつした。

■ 日枝氏の責任追及する記者たちの明らかな「準備不足」

 記者側からの質問の中には、社長・会長の辞任はこの日の会見に出席しなかった日枝久取締役相談役による「トカゲのしっぽ切り」ではないかといった日枝氏の責任を追及する声もあがったが、質問には今回の事態に日枝氏の存在が何らかの影響を及ぼしていると言えるような情報もなかった。日枝氏を追及しようとする側は決定的な準備も情報も不足しているように見えた。

 日枝氏が出席していない会見で日枝氏の責任を追及するのはナンセンスだ。中居氏とフジの女性のトラブルの内容がどのようなものであるのかは、記者会見開催前から回答することができないことは予想されていた。この会見のポイントは、トラブルを知っていたフジ上層部が、中居氏や女性にどのような対応を取ったのか、だ。

 つまりフジテレビが被害を受けたとされる女性の訴えに対しどのように動いたのか、なぜ中居氏に対する処分が遅れたのか、だ。さらにもう一点加えるならば、トラブルの発端となった会合を、女性の上司がセットしたのか否か、だ。

 だが質疑応答では、ピント外れの質問も多かった。質問は1人2問までと制限され、所属媒体・氏名を明らかにすることが伝えられたが、それを守らない質問者も少なくなかった。結果的に記者会見はグダグダになってしまった。



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