子なし人生を選択する理由:酒井順子さんが語る「産まない」という決断

「子どもを持つ」か「持たない」か。人生における大きな選択の一つであり、近年注目を集めているテーマです。現代社会では、様々な理由から子どもを持たない選択をする人が増えています。今回は、エッセイストの酒井順子さんの著書『少子』を参考に、「産まない」という決断の背景にある様々な要因を探ります。

痛みへの恐怖と社会の未整備

酒井さんは、2000年に出版した『少子』の中で、「痛いので産みたくありません」と述べています。出産に伴う痛みへの恐怖は、女性にとって大きな負担となることがあります。近年、無痛分娩の助成制度が始まるなど、出産を取り巻く環境は少しずつ変化しつつありますが、20数年前は「痛みを伴う出産こそが母性を育む」といった考え方が根強く残っていた時代でした。

酒井順子さんの写真酒井順子さんの写真

当時は保育園不足も深刻で、育児は女性の役割とされる風潮が強かったと酒井さんは振り返ります。仕事と育児の両立が困難な状況下で、「髪を振り乱して頑張る」以外の選択肢が見えなかったことが、「産まない」という決断につながったと語っています。

少子化問題の真因を探る

酒井さんは、『少子』の中で「この先子どもは減り続ける」と予測していました。少子化の原因は女性にあるとされる風潮がありましたが、酒井さんは男性側の「子どもを持ちたい」という意欲の不足と、社会の体制の未整備を指摘しています。女性が安心して出産・育児できる環境が整っていなかったことが、少子化の大きな要因の一つと言えるでしょう。

現代社会における「産まない」選択

少子化問題に関するイメージ画像少子化問題に関するイメージ画像

現代社会においても、「産まない」という選択をする女性は少なくありません。キャリア志向、経済的な不安、育児への負担など、その理由は様々です。個々のライフスタイルや価値観が多様化する中で、「子どもを持つ」ことが必ずしも人生の幸福に直結するわけではないという認識が広まりつつあります。

尊重されるべき個人の選択

「子どもを持つ」か「持たない」か。それは個人が決めるべきことであり、どちらの選択も尊重されるべきです。社会全体で多様な生き方を認め合い、それぞれの選択を支える環境を整備していくことが重要です。「産まない」という選択をした女性たちが、後ろめたさを感じることなく、自分らしく生きられる社会を目指していく必要があるのではないでしょうか。