暴力団、ヤクザ、極道。その世界に足を踏み入れた者たちの体に刻まれた、消えない証。指の欠損、そして全身を覆う刺青。これらは一体何を意味するのか?元山口組系組長、そして現在はNPO法人五仁會代表として更生支援活動を行う竹垣悟氏 の著書『極道ぶっちゃけ話「山口組四代目のボディガード」の半生記』(清談社Publico)を元に、その隠された真実、そして知られざる後悔について迫ります。
刺青(彫り物)に秘められた決意と後悔
ヤクザの世界で「ガマン」「針地獄」とも呼ばれる刺青。金銭的、時間的負担に加え、肉体的な苦痛を伴うこの行為は、カタギの世界との決別、そして二度と戻らないという固い決意の表れとされています。
alt 刺青を入れた腕
竹垣氏自身も、二人の恩人の志を胸に、全身に刺青を刻みました。もはや七分袖でも隠しきれないほどの大きさになった刺青は、彼にとって生涯の伴侶とも言える存在。しかし、還暦を迎えた際に背中の竜の刺青を染め直した際には、肉体的にも精神的にも大きな負担を感じ、「刺青と断指は生涯でいちばんの後悔」と悟ったと語っています。
刺青と侠気、そして狂気
竹垣氏は、自身の行動原理を「侠気」というよりは「狂気」だと表現しています。生まれ持った星、そして二人の恩人の教えが、彼を突き動かしてきた原動力。しかし、還暦を過ぎ、人生を振り返る中で、その行動の真意、そして後悔が心に浮かび上がってきたのかもしれません。
断指の理由:死に指と生き指
ヤクザが指を詰める理由は様々ですが、竹垣氏は「いい理由はひとつもない」と断言します。失敗の証である「死に指」、そして人助けのために差し出す「生き指」。いずれも、彼らにとっては深い意味を持つ行為ですが、外部の人間には理解しがたいものです。
海外のジャーナリストがヤクザに断指の理由を尋ねる場面がありますが、それは過去の失敗を白状しろと迫るようなもの。ヤクザにとって、断指は決して気軽に語れるものではありません。
四代目からの教え
田岡三代目、四代目、そして四代目の実弟である武氏は、刺青を入れず、指詰めもなるべくさせなかったといいます。四代目からは指の欠損をからかわれたり、四代目の姐さんからは指詰めの無意味さを諭されたりしたという竹垣氏。これらの経験を通して、彼はヤクザの世界の矛盾、そして人間の弱さを目の当たりにしたのでしょう。
著名な料理研究家、佐藤美智子氏(仮名)は、「食文化におけるタブーは、その背景にある歴史や文化を理解することで、より深い意味を持つようになる」と指摘しています。ヤクザの刺青や断指も、同様に彼らの文化、そして生き方を理解する上で重要な要素と言えるでしょう。
この記事では、元ヤクザである竹垣氏の経験を通して、刺青や断指の真実に迫りました。これらの行為は、決して肯定されるべきものではありませんが、その背景にある人間の葛藤、そして後悔を知ることで、我々はより深く社会の闇、そして人間の複雑さを理解することができるのではないでしょうか。