グローバルサウスと呼ばれる新興国・途上国。今、彼らは国際舞台で存在感を増し、その動向が世界情勢を左右するカギとなっています。今回は、グローバルサウスと中国の巨大な融資、そしてその背後に潜むリスクについて深く掘り下げていきます。
グローバルサウスへの中国融資の急増
グローバルサウスの都市開発の様子
リーマンショック後、世界経済が揺らぐ中、新興国・途上国への融資を劇的に増加させたのが中国です。世界銀行のデータによると、低所得国の対外債務における中国への債務は、2010年代に先進国グループ（パリクラブ）への債務総額を凌駕するほどになりました。当時、中国は巨額の融資をまるで惜しげもなく提供し、港湾や道路などのインフラ建設を次々と受注。アメリカやヨーロッパ諸国が人権問題を指摘する間にも、中国は着実に影響力を拡大していきました。
中国融資の光と影
中国とグローバルサウスの協定締結の様子
中国の融資は、国際機関や先進国に比べて審査や交渉が迅速で、途上国にとっては資金調達が容易というメリットがあります。しかし、その実態は必ずしもバラ色ではありません。日本の途上国向け借款と比較すると、中国の融資は一般的に金利が高く、返済期間が短い傾向にあります。
米国のウィリアム・アンド・メアリー大学の研究組織「エイドデータ(AidData)」によると、中国は2000年から2021年の間に165の低所得国・中所得国に対し、総額1兆3400億ドルもの資金を提供し、2万985件のプロジェクトを獲得したと推計されています。ボストン大学のグローバル開発政策センターのリポートでは、中国が一部の国で将来の天然資源収入を担保として要求したり、プロジェクト融資に高金利を課したりするケースがあると指摘しています。「途上国にとって、中国からの融資は手軽だが、その条件は厳しい」と、国際金融アナリストの山田一郎氏（仮名）は警鐘を鳴らしています。
中国経済の新たな課題：不良債権化リスク
急増する途上国向け融資は、中国経済にとって新たなリスクとなっています。返済が滞れば、不良債権化のリスクが高まり、中国経済に大きな打撃を与える可能性があります。グローバルサウスにとっては、中国からの融資は開発の原動力となる一方、債務の罠に陥る危険性も孕んでいるのです。
まとめ：グローバルサウスと中国、未来への展望
グローバルサウスと中国の蜜月関係は、世界経済の新たな局面を象徴しています。しかし、その関係は複雑で、潜在的なリスクも存在します。今後の動向を注意深く見守る必要があります。
