米国が推進するミサイル防衛システム構築計画、通称「米国版アイアンドーム」に対し、ロシア政府が強い非難を表明しました。この計画は世界の核バランスを崩壊させ、宇宙空間での軍事衝突を招きかねないと、ロシア外務省のザハロワ報道官が31日の記者会見で述べました。本稿では、ロシア側の主張と懸念される国際情勢への影響について詳しく解説します。
米国版「アイアンドーム」とは?
トランプ米大統領は27日、イスラエルのミサイル防衛システム「アイアンドーム」に類似したシステムの構築を目指す大統領令に署名しました。このシステムは、弾道ミサイル、極超音速ミサイル、巡航ミサイルなど、多様なミサイル攻撃への対処を目的としています。
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ロシアの反発:核抑止力への脅威と宇宙空間の軍事化
ザハロワ報道官は、この計画がロシアと中国の核抑止力を弱体化させる意図があると主張。さらに、トランプ大統領とプーチン大統領が支持を表明している核軍備管理協議の進展を阻害するものであると批判しました。
ロシア側の懸念は、米国の計画が宇宙配備型迎撃システムの開発と配備を含む、核兵器と宇宙における戦闘能力の大幅な強化を想定している点にあります。これは、米国が宇宙空間を武力紛争の舞台とし、兵器配備を進める姿勢の表れだとロシアは捉えています。
国際情勢への影響:緊張緩和への逆行
ザハロワ報道官は、米国のこのアプローチは戦略的攻撃兵器に関する対話の土台作りを含め、戦略分野における緊張緩和や状況改善に貢献しない、と強く非難しました。 専門家の中には、この計画が新たな軍拡競争を引き起こし、国際的な安全保障環境を悪化させる可能性を指摘する声もあります。例えば、国際安全保障研究所の田中一郎氏(仮名)は、「米国のこの動きは、他の国々も同様の防衛システム開発に走る可能性があり、結果として軍拡競争を激化させる恐れがある」と警鐘を鳴らしています。
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まとめ:今後の動向に注目
米国版「アイアンドーム」計画をめぐる米ロ間の対立は、今後の国際安全保障の行方を左右する重要な問題です。計画の進展と各国の対応、そしてそれが国際情勢に及ぼす影響について、引き続き注視していく必要があります。