糸魚川市といえば、美しい翡翠の産地として有名ですよね。海岸で翡翠を探す楽しみは、旅の思い出として欠かせない方も多いのではないでしょうか。しかし近年、河川での翡翠の持ち去りが問題視されており、市は対策に乗り出しました。今回は、翡翠の採取をめぐる現状と市の取り組み、そして今後の翡翠拾いについて詳しく解説します。
河川での翡翠採取、ついに自粛要請へ
糸魚川市は、国内最大の翡翠産地。市内には国の天然記念物に指定された「小滝川ヒスイ峡」と「青海川ヒスイ峡」があり、許可のない翡翠採取は禁止されています。しかし、他の河川や海岸では、個人が小さな翡翠を拾うことは認められてきました。
alt(保護された翡翠の原石。河川での盗掘が深刻な問題となっている)
ところが近年、SNSやテレビの影響で翡翠拾いが過熱し、河川での大きな原石の持ち去りが多発。資源の枯渇が懸念される事態となっています。そこで市は、河川での翡翠採取の自粛を要請する方針を固めました。これは強制力のないマナーとしての呼びかけとなりますが、国や県と協議の上、最終判断を下す予定です。
翡翠を守るための市の取り組み
糸魚川市は、「世界ジオパーク」として翡翠産地の保全にも力を入れています。河川で大きな原石が持ち去られると、海岸に漂着する翡翠が減少し、生態系にも影響を与えます。市は、この問題を深刻に受け止め、関係機関と連携して対策を進めています。
具体的には、国土交通省や県と協力し、河川での翡翠の保全と持ち去り防止策を協議。公共工事の受注業者にも、翡翠に似た岩石を発見した場合の報告を義務付けています。また、盗掘被害の通報があれば、フォッサマグナミュージアムに移転させて保護する「翡翠レスキュー」も実施しています。
専門家の声
翡翠研究の第一人者である、架空の専門家、翡翠太郎教授は、「河川での翡翠採取の自粛は、産地の保全にとって非常に重要な一歩です。翡翠は、長い年月をかけて形成される貴重な資源。未来の世代のために、今こそ持続可能な形で翡翠と共存していく必要があります」と語っています。
海岸での翡翠拾いはどうなる?
市は、海岸での翡翠拾いは継続を認める方針です。波にもまれて最終的に砂や泥になる運命の翡翠を、手のひらサイズ以下に限り採取を認めることで、資源保護と文化の継承を両立させる狙いです。
alt(盗掘によって削り取られた翡翠の原石。このような被害が後を絶たない)
手のひらサイズ以下の翡翠拾いは、これまで通り認められますが、採取した翡翠を手放す際は、廃棄せずにフォッサマグナミュージアムに寄贈するよう呼びかけています。これにより、個人の楽しみから、価値を共有してみんなで楽しむことに繋がるとしています。
糸魚川の翡翠、未来へ繋ぐために
糸魚川市では、河川での大きな原石の持ち去り以外にも、公園の展示用原石が削り取られる被害も発生しています。市は警察に相談するなど対策を講じていますが、被害は後を絶たず、一部原石の移転も検討されています。
フォッサマグナミュージアムの竹之内耕館長は、「翡翠拾いのマナーを市民や愛好家ぐるみで定着させ、糸魚川を持続可能な翡翠の産地として未来に残していきたい」と語っています。翡翠の美しさと魅力を守りながら、未来へと繋いでいくために、私たち一人ひとりが責任を持って行動することが大切です。