イ・ジュシルさん、80歳で逝去 韓国演劇界の重鎮、数々の名作で活躍

韓国演劇界の重鎮、女優イ・ジュシルさんが2月2日、胃がんのため80歳でこの世を去りました。ソウルにある次女の自宅で息を引き取ったと、ニューシスなど複数の韓国メディアが報じています。乳がんを克服し、生涯現役を貫いた彼女の功績を振り返ります。

輝かしい舞台人生、200作品以上に出演

イ・ジュシルさんは1965年に舞台俳優としてデビュー。「貞邑寺」「ガラスの動物園」「セールスマンの死」など、200本を超える舞台作品に出演し、韓国演劇界に確固たる地位を築きました。2023年にも「20世紀ブルース」に出演するなど、晩年まで舞台への情熱を持ち続け、まさに生涯現役を貫きました。

イ・ジュシルさんの在りし日の姿イ・ジュシルさんの在りし日の姿

ドラマ・映画でも活躍、名脇役として存在感

舞台だけでなく、ドラマや映画でも活躍の場を広げたイ・ジュシルさん。特に母親役や祖母役として、数々の作品で名脇役として存在感を示しました。映画「新感染 ファイナル・エクスプレス」ではコン・ユ演じるソグの母親役、Netflix「イカゲーム2」ではウィ・ハジュン演じるファン・ジュンホの母親役を熱演。その他、「悪霊狩猟団:カウンターズ」や「終末のフール」など、近年の人気作品にも出演し、その演技力で視聴者を魅了しました。

乳がんを克服、逆境にも負けぬ不屈の精神

1993年には乳がんと診断され、約10年間の闘病生活を送ったイ・ジュシルさん。しかし、病魔に屈することなく女優業に復帰し、“逆境の主人公”として多くの人の希望となりました。 韓国演劇協会関係者(仮名)は、「イ・ジュシルさんの舞台にかける情熱は並々ならぬものでした。闘病中も復帰への強い意志を持ち続け、周囲を励ましていました」と語っています。

保健学博士号取得、知性と教養を兼ね備えた女優

イ・ジュシルさんは演技だけでなく、学問にも熱心に取り組んでいました。2010年には圓光大学で保健学博士号を取得。「統合芸術治療が、脱北青少年のトラウマ後の自己同一性、自尊心、自己統制に及ぼす影響」という論文を発表するなど、知性と教養を兼ね備えた女優としての一面も持っていました。

イ・ジュシルさんの功績を偲び、ご冥福をお祈りします

韓国演劇界に大きな足跡を残したイ・ジュシルさん。彼女の演技は、これからも多くの人々の心に生き続けることでしょう。心よりご冥福をお祈りいたします。