ワシントンでトランプ大統領とネタニヤフ首相の会談が行われた4日、ホワイトハウス周辺でパレスチナ支援デモが発生しました。トランプ氏が打ち出したパレスチナ自治区ガザに関する構想は、共和党内や熱烈な支持者からも批判を浴び、中東和平への道筋に暗雲が漂っています。
ホワイトハウス周辺では、「パレスチナは売り物じゃない」と訴えるアラブ系住民の姿が見られました。トランプ大統領は会見でガザへの軍派遣の可能性を示唆しましたが、この強硬姿勢は内外から強い反発を招いています。
共和党内からも批判の声、支持者も困惑
共和党のリンゼー・グラハム上院議員は、ガザへの米軍派遣に難色を示し、ジョシュ・ホーリー上院議員も巨額の費用負担に疑問を呈しました。
ホワイトハウス周辺で抗議デモを行うパレスチナ支持者たち。トランプ政権の中東政策に不満を表明しています。
トランプ大統領の支持者からも、SNS上で反対の声が上がっています。ある男性支持者は、経済対策への期待を裏切られたと批判し、中間選挙への影響を懸念。女性支持者からは、ガザへの関与と「アメリカ第一主義」との整合性について疑問の声が上がっています。
アラブ諸国も反発、サウジ外務省は正常化の条件を再確認
アラブ諸国からの反発も必至です。サウジアラビア外務省は5日、パレスチナ人の権利侵害を拒否する声明を発表し、イスラエルとの国交正常化はパレスチナ国家樹立が条件だと改めて強調しました。
エジプトのシシ大統領とヨルダンのアブドラ国王は4日の電話会談で、アラブ諸国の統一した対応の必要性を確認。ガザ住民の移住先として協力を求められている両国を含むアラブ諸国は、1日の外相級会議でパレスチナ人の強制移住の拒否を表明しています。
専門家の見解:中東和平への影響は?
中東情勢に詳しい東京大学の中東研究センターの山田教授(仮名)は、「トランプ政権の今回の動きは、パレスチナ問題の解決をさらに困難にする可能性がある。アラブ諸国との関係悪化も懸念され、今後の動向を注視する必要がある」と指摘しています。
パレスチナ問題の専門家である国際政治学者の佐藤氏(仮名)は、「トランプ政権の強硬姿勢は、パレスチナだけでなく周辺地域全体の不安定化につながる恐れがある。国際社会の協調した対応が不可欠だ」と警鐘を鳴らしています。
このガザ構想をめぐる国際社会の反応は、今後のアメリカと中東の関係を大きく左右する重要な局面を迎えています。
パレスチナ問題の解決に向けて、国際社会の英知が問われています。