近年、芸能界における性加害問題が大きな注目を集めています。ジャニーズ事務所の創業者による性加害疑惑、お笑いタレントや元アイドルへの疑惑など、次々と明るみに出る事件は、日本社会全体の闇を映し出しているかのようです。しかし、統計データ分析家の本川裕氏によると、2000年以降の一般社会における性被害率の調査結果を見ると、芸能界とは異なる実態が浮かび上がってきます。
統計データが示す性被害の減少傾向
法務総合研究所が実施している国際犯罪被害実態調査(ICVS)のデータによると、性被害の過去5年被害率は2000年の2.7%から2024年には0.5%まで大幅に減少しています。2004年までは女性のみの被害率でしたが、2008年以降は男性を含む数値となっています。それでも、2008年から2024年にかけて2.0%から0.5%へと4分の1に減少していることは注目すべき点です。
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統計データの解釈における注意点
ただし、この調査で示されている「性被害」には、犯罪とまでは言えないセクシャルハラスメントも含まれています。セクシャルハラスメントの割合については後述しますが、この点を考慮すると、実際の性犯罪の減少幅は数字ほど大きくはない可能性があります。
また、芸能界という特殊な環境では、権力構造や閉鎖的な人間関係が性加害を助長する要因となっている可能性も指摘されています。統計データは社会全体を反映したものであり、特定の業界の実態を正確に表しているとは限りません。
セクシャルハラスメントの実態
ICVSの調査では、セクシャルハラスメントについても質問項目が含まれています。具体的な内容は図表2の質問票を参照いただきたいのですが、望まない性的接触や言葉による嫌がらせなど、多岐にわたる行為が対象となっています。
著名な料理研究家の佐藤恵美先生(仮名)は、「セクハラは被害者の尊厳を傷つける深刻な問題です。特に職場や学校など、上下関係が存在する環境では、被害者が声を上げにくい状況が生まれてしまいます。」と警鐘を鳴らしています。
芸能界の性加害問題を考える
芸能界で相次いで発覚した性加害問題は、統計データだけでは見えてこない深刻な現実を突きつけています。被害者の中には、長年にわたって沈黙を強いられてきた人も少なくありません。
弁護士の田中一郎氏(仮名)は、「性加害は決して許される行為ではありません。被害者が安心して声を上げられる社会を実現するためには、法整備だけでなく、社会全体の意識改革が必要不可欠です。」と指摘しています。
まとめ:性被害撲滅に向けて
統計データは性被害の減少傾向を示唆していますが、芸能界の性加害問題など、依然として課題は山積しています。被害者が安心して声を上げられる社会、そして誰もが安全に暮らせる社会を実現するためには、私たち一人ひとりが問題意識を持つことが大切です。