トランプ政権復活で「多様性」政策に逆風? DEI見直しでアメリカはどう変わる

アメリカ社会を大きく揺るがした「多様性・公平性・包括性(DEI)」政策。トランプ前大統領の再選を機に、その方向性が大きく転換しようとしています。DEIとは一体何か、そしてアメリカ社会にどんな変化をもたらすのか、分かりやすく解説します。

DEI(多様性・公平性・包括性)とは?

DEI(Diversity, Equity, and Inclusion)とは、人種、性別、性的指向、宗教、年齢、障害など、あらゆる違いを尊重し、誰もが平等に機会を得られる社会を目指す取り組みです。オバマ政権以降、民主党政権下で推進されてきました。2020年のジョージ・フロイド氏の事件を契機に、企業も積極的にDEIを導入する動きが加速しました。例えば、マクドナルドは管理職におけるマイノリティ比率の向上目標を設定するなど、具体的な施策を打ち出しました。

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トランプ政権のDEIへのスタンス

しかし、トランプ前大統領はDEIに批判的です。「実力主義」を重視し、DEIは「逆差別」を生むと主張しています。就任前の集会ではDEI政策の見直しを公言し、支持者から大きな歓声を受けました。この発言は、DEI推進企業への不買運動など、社会的な反発をさらに強める結果となりました。

最高裁判決がDEIの行方を左右

2023年6月、連邦最高裁は大学入学選考におけるアファーマティブ・アクション(マイノリティ優遇措置)を違憲と判断しました。この判決は、DEI推進の動きに大きなブレーキをかけることとなりました。企業は訴訟リスクを懸念し、DEI関連の取り組みを縮小・廃止する動きが出ています。マクドナルド、ウォルマート、メタなどの大手企業も、その流れに追従しています。

ウォルマートのロゴウォルマートのロゴ

DEIの功罪と今後の展望

DEIは社会の多様性を尊重し、格差是正を目指す上で重要な役割を果たしてきました。一方で、一部では「逆差別」や「実力主義の軽視」につながるとの批判も根強くあります。ニューヨーク在住の白人男性大学生(22歳)は、「DEIは行き過ぎている。トランプ氏はそれを是正しようとしているだけだ」と語ります。 東京都在住のダイバーシティ経営コンサルタント、佐藤恵氏(仮名)は「DEIは単なる数値目標の達成ではなく、真の多様性を受け入れる企業文化の醸成が重要」と指摘します。今後、DEIはどのような方向へ進むのか、アメリカ社会の動向に注目が集まっています。

DEIに関する様々な意見

DEIに対する意見は様々です。推進派は多様性を受け入れる社会の実現、格差是正、企業のイノベーション促進などをメリットとして挙げます。一方、反対派は「逆差別」や「実力主義の軽視」、「社会の分断」などを懸念しています。今後のDEIのあり方については、更なる議論が必要とされています。

メタのロゴメタのロゴ

アメリカ社会の未来は?

トランプ政権のDEI見直しは、アメリカ社会に大きな変化をもたらす可能性があります。企業の採用活動、教育制度、社会全体の価値観など、多岐にわたる影響が予想されます。DEIをめぐる議論は、アメリカ社会の将来を占う上でも重要な意味を持つでしょう。