スウェーデンのストックホルム地方裁判所は、ISに加担しヤジディー教徒の女性と子供を奴隷として扱ったとして、イラク系スウェーデン人女性に12年の禁錮刑を言い渡しました。この判決は、ISによる組織的なジェノサイドの実態を改めて浮き彫りにし、国際社会に衝撃を与えています。
ISの残虐行為に加担したスウェーデン人女性
52歳のリーナ・イシャク被告は、スウェーデンでキリスト教徒のイラク人家庭に育ち、後にイスラム教に改宗。2013年に家族と共にシリアに移住し、IS支配地域で生活を始めました。2015年には、ISに拉致されたヤジディー教徒の女性3人と子供6人を5ヶ月に渡り監禁し、奴隷として扱った罪で起訴されました。
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被告は、被害者たちにコーランの暗唱を強制し、「異教徒」「奴隷」といった侮蔑的な言葉を浴びせたとされています。裁判所は、これらの行為がジェノサイド、人道に対する罪、戦争犯罪に該当すると判断しました。
ジェノサイドの認定と国際社会への影響
裁判所は、ISによるヤジディー教徒迫害において「包括的な奴隷化システム」が重要な要素であったと指摘。被告はISの意図を共有し、組織的な迫害に加担したと結論付けました。この判決は、ISによるジェノサイドの責任追及において重要な一歩となるでしょう。
専門家の意見として、国際人権法専門家の田中一郎氏(仮名)は、「今回の判決は、ISの残虐行為に関与した個人に対する責任追及を強化する重要な判例となるでしょう。加害者が国外に逃亡した場合でも、国際協力によって裁きを受けさせることができるという強いメッセージを送ることになります」と述べています。
今後の課題と国際社会の責任
今回の判決は、ISによるジェノサイドの真相究明と加害者への責任追及に向けた重要な一歩です。しかし、未だ多くのヤジディー教徒が行方不明のままであり、国際社会は更なる努力を続けなければなりません。被害者への支援と、二度とこのような悲劇が繰り返されないための対策が急務です。
例えば、紛争地域における人権侵害の監視体制強化、被害者救済のための国際的な基金設立、そして加害者の訴追に向けた国際協力の促進などが挙げられます。
まとめ:ヤジディー教徒への正義の実現に向けて
今回の判決は、ヤジディー教徒への正義の実現に向けた重要な一歩です。国際社会は、この判決を契機に、ジェノサイドの防止と被害者支援に一層力を入れる必要があります。