ウクライナ紛争の終結に向けた道筋はまだ見えない中、ドナルド・トランプ前米大統領が米ロウク3カ国協議の開催を発表し、世界中の注目を集めました。しかし、この協議の実現性には疑問の声も上がっており、今後の展開が注目されています。
トランプ氏の発言と各国の反応
トランプ前大統領は記者会見で、ミュンヘン安全保障会議の際に米ロウク3カ国協議を行うと発表。しかし、具体的な出席者や協議内容については明言を避けました。ロシア側はコメントを控えており、ウクライナ側は協議の予定はないと否定。ゼレンスキー大統領側近のリトヴィン氏も、ウクライナ代表団の出席予定はないと明言しました。
ウクライナ中部ザヴァリャで、戦死したウクライナ人を追悼する人
トランプ氏とプーチン氏、ゼレンスキー氏の電話会談
発表に先立ち、トランプ氏はプーチン大統領、ゼレンスキー大統領と個別に電話会談を実施。「素晴らしい協議だった」と述べ、戦争終結の可能性に言及しました。しかし、ウクライナのNATO加盟や、2014年以前の国境線への復帰は非現実的との見解を示しました。
ゼレンスキー大統領は、トランプ氏がプーチン氏と先に協議したことに不快感を表明。ウクライナの関与なしに進められる和平協定には同意しないと牽制しました。
ウクライナ和平への課題と国際社会の懸念
ヨーロッパでは、米ロ主導でウクライナ和平が決定されることへの懸念が広がっています。ゼレンスキー大統領は、ヨーロッパ諸国も交渉に参加する必要性を訴え、マクロン仏大統領もゼレンスキー氏のみがウクライナを代表して交渉できると主張。「屈服」による和平は受け入れられないとの立場を明確にしました。EUのカッラス上級代表も、性急な解決は問題解決にならないと警告しています。
ウクライナ紛争の象徴的なイメージ写真
紛争の背景と現状
2014年の親ロシア派大統領失脚後、ロシアはクリミア半島を併合し、ウクライナ東部の親ロシア派分離主義者を支援。2022年2月にはウクライナへの全面侵攻を開始しました。ロシア軍はウクライナ東部・南部の一部地域を占領し、空爆を継続。ウクライナ軍はドローン攻撃やロシア領内への越境攻撃で抵抗しています。紛争による死傷者数は数十万人に上ると推定されています。
今後の展望
トランプ氏の発言は、ウクライナ紛争の終結に向けた新たな展開となる可能性を秘めています。しかし、各国の思惑が交錯する中、協議の実現や和平への道筋はまだ不透明です。今後の国際社会の動向が注目されます。