結婚願望の低下が叫ばれる昨今、本当に若者は結婚したくないのでしょうか?実は、長年の調査データから見えてくるのは、若者の結婚への前向きな意識は、それほど変わっていないという事実です。では、なぜ婚姻数は減少の一途を辿るのでしょうか?この記事では、結婚したいのにできない「不本意未婚」に着目し、その実態と都道府県別の状況を詳しく解説します。
若者の結婚観:本当に結婚したくない?
多くのメディアで「若者の結婚離れ」が取り上げられていますが、実際のところ、20~30代の未婚男女の結婚願望は、過去30年間ほぼ横ばいです。国立社会保障・人口問題研究所の「出生動向基本調査」によれば、男性の4割強、女性の5割前後が結婚に前向きな姿勢を示しています。つまり、結婚したくない若者が増えたというよりも、結婚したくてもできない若者が増えているという現状が見えてきます。
若者の結婚に対する意識
結婚前向きでも未婚?「不本意未婚」とは
結婚に前向きな若者たちが、なぜ結婚に至らないのでしょうか?その背景には、経済的な不安定さ、仕事と家庭の両立への不安、理想の相手との出会いづらさなど、様々な要因が複雑に絡み合っています。こうした状況にある未婚者を、「不本意未婚」と定義づけることで、問題の本質が見えてきます。結婚相談所のベテランカウンセラー、山田花子さん(仮名)は、「近年、『結婚したいけれど、できない』という若者の相談が増えている」と指摘します。
都道府県別に見る「不本意未婚」の現状
不本意未婚の現状は、地域によっても差が見られます。出生動向基本調査では都道府県別のデータは公開されていませんが、独自の調査データを用いて、都道府県別の結婚前向き率を算出しました。「結婚する予定(婚約者がいる)」「結婚は強くしたい」「結婚はしたいと思っている」と回答した20~30代未婚男女を「結婚前向き層」とし、その割合を全国平均と比較しました。
興味深いのは、結婚前向き率の高い都道府県が、男女ともに共通して高いわけではないという点です。例えば、男性の前向き率が高い地域でも、女性の前向き率は低いといったミスマッチも存在します。この地域差は、地域の文化や価値観、雇用状況、出会いの機会の多寡などが影響していると考えられます。
都道府県別の結婚前向き率の差
不本意未婚率から見えてくる課題
重要なのは、結婚前向き率の高低ではなく、実際に結婚に至った割合、つまり「結婚達成率」です。2020年の国勢調査データと結婚前向き人口を掛け合わせ、結婚達成率を算出しました。その逆数が「不本意未婚率」となります。この不本意未婚率に着目することで、各地域における未婚化の深刻度をより正確に把握できます。結婚支援NPO法人代表の田中一郎さん(仮名)は、「不本意未婚率の高い地域では、若者の出会いの場の創出や経済的支援など、より積極的な対策が必要だ」と訴えています。
結婚を希望する若者を支援するために
少子化対策の一環として、結婚支援の重要性はますます高まっています。若者が結婚を希望するのであれば、それを実現できる社会環境を整備することが不可欠です。経済的な支援策の拡充、ワークライフバランスの推進、出会いの機会の提供など、多角的なアプローチが必要です。
結婚は個人の自由な選択ですが、結婚を希望する若者が、その夢を実現できる社会を目指していくことが大切です。