【ニューヨーク=上塚真由】米国との国境に近いメキシコ北部で4日、米国籍を持つ末日聖徒イエス・キリスト教会(モルモン教)系信徒の一家が武装集団に襲撃され、子供6人を含む9人が死亡する事件が起きた。一帯は暴力事件が多発している地域で、対立する麻薬組織と間違われて殺害された可能性があるという。
トランプ米大統領は5日、ツイッターで「メキシコは、米国の支援で麻薬組織との戦争を行い、一掃するときがきた」と強調したが、メキシコのロペスオブラドール大統領は記者会見で「外国の干渉は必要ない。戦争は最悪だ」と拒否した。両首脳はその後、電話会談を実施し、ホワイトハウスによると、トランプ氏は犯人を処罰するための支援を申し出た。
米メディアなどによると、モルモン教徒系の一家は米国とメキシコの2重国籍で、メキシコのソノラ州に居住。3台の自動車に分かれて移動中に、待ち伏せしていた武装集団に襲われた。武装集団は発砲した上、ガソリンをかけて自動車を燃やしたという。犠牲者は女性3人と子供6人で、子供のうち2人は1歳未満の乳児だった。けが人も出ているという。
メキシコの一部地域は治安の悪化が深刻となっており、ロイター通信によると、今年1~6月ですでに約1万4600件の殺人事件が発生。麻薬組織の撲滅など治安対策が不十分としてロペスオブラドール政権への批判があがっている。